プーチンが「グローバリズム」を警戒する根本理由 エリツィン時代に40代のプーチンが見た現実

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プーチン氏の生い立ちから現在の行動原理を探る(写真:Leon Sadiki/Bloomberg)
複雑怪奇な国際情勢を読み解くためには、「歴史」と「哲学」を学ぶ必要があります。例えば、現在のウクライナ戦争を理解するためには、ロシアのプーチン大統領を動かしているおおもとの思想を知る必要があるのです。
茂木誠さんと松本誠一郎さんの共著『“いまの世界”がわかる哲学&近現代史 ~プーチン、全体主義、保守主義』より、スパイに憧れていたプーチンがいかにして政治家としての考え方を構築していったのかを本文を一部引用・再編集してご紹介します。

プーチンを動かす根本的な思想

松本:今、よくも悪くも世界中の人々が注目している、ロシア大統領ウラジーミル・プーチン。この人物を、私たちはどう考えていったらいいのか。茂木先生、どのあたりから話を始めましょうか?

茂木:2022年に始まったウクライナ戦争を論じても仕方がないと思います。というのは、当事者両国はもちろん、関連各国の情報戦がすさまじいので、何が本当なのかがわからない。どちらが勝っているのかも、正確には判断できないからです。ですから、ウクライナ戦争については直接的には触れず、プーチンを動かしている根本的な思想を深掘りしたいと思います。

松本:わかりました、プーチンを動かしている「思想」あるいは「哲学」ですね。

さて、プーチンについて読者の皆さんもある程度のことはご存じかと思うのですが、今一度振り返っておきますと、彼はKGB(ソ連国家保安委員会)出身だということ。KGBはソ連の諜報機関ですね。そして、かつて兄弟国であったソ連と東ドイツ、その東ドイツにプーチンはKGBのエージェントとして派遣されていました。

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