プーチンが「グローバリズム」を警戒する根本理由 エリツィン時代に40代のプーチンが見た現実

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茂木:それは、日本映画?

松本:1961年日本公開の日仏合作映画です。『スパイ・ゾルゲ』は2003年にも映画化されていますが、1961年版ですから白黒映画です。それを中学生前後だったプーチン少年が観て感動したらしくて。それで「僕はKGBに行くんだ!」と、そういうことがあったらしいのです。

※『スパイ・ゾルゲ 真珠湾前夜』
フランス語の題名は「Qui êtes-vous, Monsieur Sorge?」(ゾルゲ氏よ、あなたは誰)

プーチンがNATOに詳しいワケ

茂木:そうですか、スパイ映画に感動した少年の夢が叶ったわけですね。念願叶ったプーチン青年は東ドイツに派遣され、その地でNATO(北大西洋条約機構)に関する情報収集をメインの仕事としていたようです。

松本:NATOの情報収集……だから、プーチンは欧米に詳しいのですね。

茂木:余談ですが、前米大統領ロナルド・レーガンがモスクワを訪問したときに、赤の広場で彼がロシア人の観光客としゃべっている写真があって、そこにプーチンが写っています。親子連れの観光客を装い、レーガンに接近しているという証拠写真です。

松本:私の興味は、ドイツ語も練達(れんたつ)するようになったプーチンが「ドイツ哲学」を勉強していたのか否かです。彼がドイツ時代に、どういうドイツ哲学に触れていたのかまったく記録がなくて……。ヘーゲルに目覚めたとか、ニーチェを愛読していたとか、であれば後のプーチンの思想はこのときつくられていたのか、という手がかりにもなるのですが。

茂木:ドイツ語を読めるのですから、当然、プーチンはドイツ哲学に何かしらの影響を受けているでしょうね。彼の経歴を追ってみても、ゴリゴリの共産主義者という感じはしない。

松本:ええ、なんというか、資本主義の良し悪しもわかるといった、そういう人物像が浮かび上がってきます。

茂木:はい、僕もそう思います。

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