肩関節周囲炎とは、文字通り、肩関節の周辺の組織に炎症が起きる病変の総称だ。腱板(上腕骨と肩甲骨をつなぐ腱)に炎症が起こっているもの(腱板炎)、腕の前側の筋肉である上腕二頭筋に炎症が起こっているもの(上腕二頭筋長頭腱炎)、などがある。
一方、肩関節をおおっている関節包という袋状の膜に炎症が起きて、この膜が厚くなって縮こまってしまうと、可動域制限や強い痛みが長期間続くようになる。治りにくい五十肩はこちらのパターンだ。
つらいのは就寝中の激痛
五十肩の典型的な症状は、主に3つ。
1つめは動作時、つまり肩を動かしたり、腕を上げたりするときに痛みが出ること。2つめは、動かせる範囲(可動域)が制限されること。そして3つめが就寝中の強い痛みだ。
痛みの強さや可動域の制限は人によってさまざまだが、クリニックに来院する患者の多くは、挙上(腕を上に挙げる)は90度程度まで、背中へ手を回すときも、お尻くらいまでしか届かないことが多い。どの方向に動かしても痛むそうだ。
「五十肩はまた、就寝時に非常に強い痛みが出るのが特徴です。夜間痛がもっともつらいという患者さんが非常に多いですね。夜中に何度も起きてしまうので、睡眠不足の問題も起こります」(菅谷医師)
就寝中に痛みが強くなる理由はよくわかっていないが、寝る姿勢になると重力の加わり方が変わることで、腕が後ろに下がるためではないかと菅谷医師は考察する。痛む側を上にして寝ると、痛みが軽減することもあるようだ。
診断ではまず、転倒や打撲など明らかなケガがあるか、病気の既往歴(糖尿病では肩の炎症が起きやすい傾向にあるため)などを確認したあと、可動域チェックとX線検査を行う。
X線検査を行う目的は、五十肩であると診断するためというより、他の病気と間違えないようにするためだ。というのも、五十肩はX線検査では異常がみられないからだ。
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