再発予防という意味でも、胸郭の動きもよくしておくことが重要だ。
菅谷医師が勧めるのは、胸郭(きょうかく)や上半身全体を動かすエクササイズ。この運動は、炎症期から始めたほうがいいそうだ。腕は動かさずに、背骨や骨盤を動かす運動を積極的に行っていく。深呼吸も有効のようだ。肋骨を広げたり閉じたりすることで、胸郭をほぐす。
手術が必要なケースは5%
五十肩の約95%は薬物療法とリハビリで治るが、残りの5%は手術が必要となる。
「対象となるのは、痛みがなくなってリハビリを続けているにもかかわらず、可動域がまったく改善しない人です。関節包が分厚くなったまま戻らなくなったケースです」(菅谷医師)
肩周辺の炎症は関節包にも及ぶ。すると関節包の厚みが増したり、癒着が起きたりする。これは時間経過とともに戻るのが普通だが、まれに分厚くなったまま戻らないことがあり、こうなった関節はガチッと硬くなった状態になるため、可動域は戻らなくなる。
「リハビリ開始後、3カ月経過しても可動域が改善しない場合は、手術を決断すべきです。手術は、厚く縮こまった関節包をぐるっと切るというものですが、さほど難しい手術ではありません。術後すぐに可動域が改善したことが実感できますし、その後、適切なリハビリを継続すれば3カ月から半年で治ります」(菅谷医師)
(取材・文/石村紀子)
菅谷啓之医師
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