「五十肩」と決めつける前に疑うべき"3つの病気" 特徴的な症状3つ、思い当たった人は要注意

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再発予防という意味でも、胸郭の動きもよくしておくことが重要だ。

菅谷医師が勧めるのは、胸郭(きょうかく)や上半身全体を動かすエクササイズ。この運動は、炎症期から始めたほうがいいそうだ。腕は動かさずに、背骨や骨盤を動かす運動を積極的に行っていく。深呼吸も有効のようだ。肋骨を広げたり閉じたりすることで、胸郭をほぐす。

骨盤前後傾運動 イスに浅く座って、手は腰に置く(肩の可動域制限が強い場合は、手を腿の上に置く)。骨盤をうしろに傾けた状態(後傾)から、骨盤を立てる(前傾)を繰り返す(提供:東京スポーツ&整形外科クリニック)

手術が必要なケースは5%

五十肩の約95%は薬物療法とリハビリで治るが、残りの5%は手術が必要となる。

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「対象となるのは、痛みがなくなってリハビリを続けているにもかかわらず、可動域がまったく改善しない人です。関節包が分厚くなったまま戻らなくなったケースです」(菅谷医師)

肩周辺の炎症は関節包にも及ぶ。すると関節包の厚みが増したり、癒着が起きたりする。これは時間経過とともに戻るのが普通だが、まれに分厚くなったまま戻らないことがあり、こうなった関節はガチッと硬くなった状態になるため、可動域は戻らなくなる。

「リハビリ開始後、3カ月経過しても可動域が改善しない場合は、手術を決断すべきです。手術は、厚く縮こまった関節包をぐるっと切るというものですが、さほど難しい手術ではありません。術後すぐに可動域が改善したことが実感できますし、その後、適切なリハビリを継続すれば3カ月から半年で治ります」(菅谷医師)

(取材・文/石村紀子)

東京スポーツ&整形外科クリニック院長
菅谷啓之医師
1987年千葉大学医学部卒業。年間肩肘手術600件、年間外来診察1万2000名以上をこなし、多くのプロスポーツ選手やオリンピック選手などのトップアスリートから一般患者まで広く診療する。ハイレベルな理学療法と関節鏡手術を駆使して診療を行っている。学術面では、英文著書論文約100編、日本語著書論文は300編を超える。例年国内外での講演を多数行い、2017年10月には第44回日本肩関節学会を主催した。2020年9月、東京スポーツ&整形外科クリニックを開設し、2022年10月には一般社団法人日本肩関節学会の理事長に就任。
東洋経済オンライン医療取材チーム 記者・ライター

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とうようけいざいおんらいんいりょうちーむ / TKO Iryou-Team

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