「五十肩」と決めつける前に疑うべき"3つの病気" 特徴的な症状3つ、思い当たった人は要注意

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「五十肩と同じような肩の炎症や痛み、可動域制限が表れても、五十肩ではない場合があるのです。病気やケガによって痛みや炎症、拘縮(こうしゅく:関節が硬くなり、正常な範囲で動かなくなること)が起きたものは、二次性なので五十肩とはいいません。これらに該当しない一次性の炎症や痛みが五十肩になります」(菅谷医師)

五十肩と間違えやすい肩の痛みを引き起こす主な病気は次の通り。それぞれ治療法が違うので、しっかり見極める必要がある。鑑別はX線検査のほか、超音波検査、CT(コンピュータ断層撮影)、MRI(磁気共鳴画像)などで行う。

菅谷医師によると、クリニックには腱板断裂ではないかと心配される患者さんが多く来院するそうだ。両者はどう違うのだろうか。

「腱板断裂の場合、健康な状態よりも可動域は落ちるものの、五十肩ほど動かしにくさはありません。専門家であれば可動域をチェックすれば断裂の有無はほぼわかりますが、念のため超音波検査やMRIで確認します。これらの検査は腱板に傷がついていないか、関節内に水が溜まっていないかなどを確認するためにも役立ちます」(菅谷医師)

X線検査で石灰沈着性腱板炎が疑われる場合は、石灰性病変が写りやすいCTを撮るという。

五十肩の進行と主な治療

五十肩は「炎症期」「拘縮期(こうしゅく)」「回復期」の3段階を経て治っていく。

炎症期は痛みが強く出ている時期。その次に訪れるのが拘縮期。痛みは軽減するが、炎症した組織が硬くなり、肩の動きが悪くなっていく。凍結期と呼ぶこともある。その後、硬くなった組織がほぐれて可動域が広がっていく回復期に移行する。

■炎症期の治療

炎症期は、痛みの根源となっている関節の炎症を抑えるための水溶性ステロイドと局所麻酔薬を患部に注射し、消炎鎮痛薬を服用しながら経過を見ていく。通常、痛みが治まるまでに1カ月から2カ月かかる。

「注射は2週に1回が基本です。消炎鎮痛薬は強い鎮痛作用があるオピオイド系を使うことが多いです。ドラッグストアなどで購入できる市販薬(非ステロイド系の消炎鎮痛薬)はあまり効きません」(菅谷医師)

炎症期は、安静にしていることが最も重要だ。

「その間は、とにかく腕を大きく動かさないこと。使う場合は体の前、視界に入る範囲での動きにとどめるようにしてください。関節が動かなくなったら大変だからと痛みを我慢して動かす人がいますが、それをやると炎症が悪化し、痛みはずっと続くので注意してください」(菅谷医師)

■拘縮期~回復期の治療

拘縮期から回復期は、人にもよるが半年から1年程度。リハビリをすることで、可動域が戻って、以前のように痛みなく動かせるようになる。リハビリは週1回、理学療法士に動作をチェックしてもらいながら行うのが一般的だが、それだけでは足りないので、家でも毎日行うこと。

「ある程度可動域が戻ると、途中でやめてしまう人が多いのですが、それだと完全に元通りにはなりません。完治の目安は、肩の可動域だけでなく、胸郭や肩甲骨もよく動く状態に戻ること。できれば、左右差がない状態が理想です」(菅谷医師)

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