推しに祈る「1万円する推し壇」が売れまくる背景 20色に光る推し壇、入社3年目の社員が提案
郡司さんは美大に通っていた学生時代から、部屋に推しのための神棚を設置しており、「うちに来た友達は最初に推しを拝んで、遊び始めていた。私も精神的に救われた」。
卒業後は「祈り 就職」で検索して見つけたはせがわに入社し、昨年末に社内で行われたチャレンジ企画の公募で、推し壇を提案した。
「学生時代の友人に、はせがわの理念は『心の平和と生きる力』なのに、推しの力になることをしていないじゃないかと言われ、推し専用の祭壇を企画した」(郡司さん)
応募した企画を社長など取締役4人の前でプレゼンした際、事務方として同席した経営企画部の福田惇弥さんは「入社以来仏壇とお墓の営業をしてきた自分は、生きている方に祈りを捧げるための商品なんて考えたことがなかった」と衝撃を受けたという。
はせがわの取締役は郡司さんの親世代。「推し活」という言葉を知ってはいたものの、その熱量までは知らず、「息子が持っている女性のフィギュアか」など質問を受けたという。
「私が生まれたのは神仏やご先祖様のおかげだけど、今生きているのは推しのおかげでもある。ミレニアル世代やZ世代にとって推しがいかに尊い存在かを伝え、尊い方に手を合わせたいという思いはすんなり理解してもらえた」
公募には25件の応募があった
推し壇企画はめでたく採用された。福田さんによると、公募には25件の応募があり、願い事を書いてお守りにできる「釈迦シャカカイロ」や久留米絣で作った仏壇打敷、他部署で一定期間働ける「社内インターン」など、約半数が実現した。
推し壇の価格は1万3750円(税込)。国産ヒノキ材を使った本格仕様だ。安すぎるとありがたみに欠ける。かと言って10~30代の手が届かない価格にはできない。推し活にかける平均費用なども調べて設定した。
釈迦シャカカイロが採用から1カ月ほどで商品化されたのに対し、推し壇は発売まで10カ月かかった。郡司さんは「通常業務と並行して商品開発をしていたこともあるが、仏壇製造で使うことのないLEDの調達に時間がかかったのが最大の理由」と説明する。
展示会を回り、品質に納得でき予算内で収まるものを探したという。
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