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「顔なき世界」が支配する「スターウォーズ」の帝国 「顔」を失うことは「生の主導権」を奪われること

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僕たちが「顔」を取り戻すためには、軍事力が世界を制する「精神と物質が切り離された世界」ではなく、「精神と物質が合一である世界」に立ち返る必要があります。

しかし完全に時代を逆に戻すことはできません。そこで本作がヒントになります。本作では、特に戦闘シーンである後半を除くと、前半にたくさん出てくるシーンがあります。それが「ドロイドを修理する」シーンです。

とにかく映画の前半はルークやその仲間たちがドロイドや機械をどのように扱っているかが、とても丁寧に描かれています。ルークは逃げてきたドロイド二体を修理する過程で、お互いにコミュニケーションをとりながら信頼関係を深めていきます。また途中でルークたちに合流するお尋ね者も、古い宇宙船を修理しながら大変な事態を乗り切ってきたことを誇らしく語ります。

一方、帝国の人間がドロイドを修理したり、機械のメンテナンスをしながら言葉をかけ合うシーンは描かれません。

修理することは「手をいれる」という言い方もします。反乱軍のメンバーは旧式の武器やドロイドに手をいれながら使っています。それは「思ったようにはいかない」ことを前提にしているとも言えます。計画どおりにいきっこないから、手を入れながら、調整しながらやっていきましょうという思想です。

そのような、手をいれたり、手を使ったりすることが、本作では「精神と物質を媒介するパス」になっているようです。

その結果、「精神と物質が合一である世界」に立ち返る余地が生まれてきます。その余地があるからこそ、「May the force be with you」という言葉が口をついて出てくるのです。

帝国軍のように「精神と物質が切り離された世界」において、計画どおりに進まないことは不利益を被るばかりです。一方で「精神と物質が合一である世界」を生きる反乱軍は、人間の手が入れられるよう、想定どおりに進まないことを前提に計画が立てられています。映画のラストシーンに関わるので言及はしませんが、その想定どおりに進まないことによって反乱軍は大きな利益を得ることができました。

「手を入れる」ことのできる余地を残す

僕たちの社会に目を移すと、完全自動化、完全オンライン化がもたらす未来像は、スターウォーズにおける帝国が支配する「顔」のない世界だとしか思えません。

そういう未来にならないようにするためには、僕たちはどうしても「May the force be with you」と声をかけ合える余地を残しておかねばなりません。

そのためには機械にも計画にも「手を入れる」ことのできる余地を残しておくこと。

本作『スターウォーズ』はそれを僕たちに伝えてくれているのです。

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