障害者施設殺傷事件を描く映画『月』が心を抉る 宮沢りえ主演、観客に「覚悟」を問う作品

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映画『月』のいち場面
映画『月』/監督・脚本:石井裕也/企画・エグゼクティブプロデューサー:河村光庸/出演:宮沢りえ、磯村勇斗、二階堂ふみ、オダギリジョーほか/10月13日(金)新宿バルト9、ユーロスペースほか全国公開/配給:スターサンズ(写真:©2023『月』製作委員会)

2016年7月、相模原市の知的障害者施設で、26歳の男が入所者19人を殺害するという痛ましい事件が起こった。「意思疎通の取れない障害者は安楽死をさせるべきだ」と語るその男の主張は、人間の肉体のみならず、人間の尊厳までも奪うものとして社会を震撼させた。

“覚悟”を問いかける作品

この事件に着想を得て、小説として大胆に描き出した辺見庸の『月』を基に、『舟を編む』の石井裕也監督が映画ならではの表現で翻案し、実写映画化した。スクリーンからは終始、「見たくないものから目をそらしてはいないか」と訴えるような強烈なメッセージが放たれる。それは見る者の感情をかき乱し、観客に問いかけ、“覚悟”を求めるような切実さに満ちている。

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