1999年に脚本を書いて世に出すタイミングをうかがっていたという本作。80歳の巨匠デヴィッド・クローネンバーグ監督の集大成的な作品だ。タイトルは「未来の罪」。テクノロジーの進化=暴走した欲望はついに新しい人間を作ってしまった。それは人が生まれながらにして持つという「原罪」の現れなのか。
暴走した「欲望」の行き着く果て
舞台は、人類が人工的な環境に適応し続けた結果、痛みを感じなくなった近未来。「加速進化症候群」のソール・テンサー(ヴィゴ・モーテンセン)は公開手術を行うパフォーマンスアーティストだ。彼が体内で生み出す新たな臓器にパートナーのカプリース(レア・セドゥ)がタトゥーを施し摘出するショーはたちまち大人気に。しかし、政府は人類の誤った進化と暴走を懸念し、「臓器登録所」を設立、ソールを監視し始める。
映像のグロテスクさからか、倫理的な嫌悪感からかは定かでないが、昨年のカンヌ国際映画祭では退席が続出した。
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