元受刑者と支援者への「悪意」なき世間の厳しさ 映画『過去負う者』が突きつけるもの

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映画『過去負う者』のワンシーン
映画『過去負う者』/撮影・録音・脚本・編集・監督:舩橋 淳/プロデューサー:舩橋 淳、植山英美/出演:辻井 拓、久保寺 淳、田口善央、紀那きりこ、峰 あんり、満園雄太、みやたに、伊藤 恵、小林なるみ、平井早紀/上映時間:125分/10月7日から全国順次公開(© 2022 BIG RIVER FILMS)

日本の刑務所満期出所者が5年以内に再犯し、再入所する確率は約50%。その高い割合の背景には、再入所者の7割が無職という事実が示すように、社会復帰において重要な「就労」が困難な問題が横たわっている。

このテーマを取り上げた映画には、役所広司主演『すばらしき世界』(西川美和監督/2020年)が記憶に新しい。一方、ドキュメンタリー的に元受刑者を取り巻く生活環境を描く本作は、視点とテーマの切り取り方が異なる。元受刑者の足元の生活のひりつくような現実を圧倒的なリアリティーで映し出す。

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