原爆の父とたたえられたロバート・オッペンハイマーの伝記的物語。原子爆弾の開発過程から、投下後、共産党員との交流を理由にスパイ容疑をかけられ、公職を追放されるまでを描く。公聴会での証言シーンを軸にしつつ、科学者としての資質や人間的魅力も掘り下げた力作だ。
「原爆の父」の苦悩
気鋭の物理学者、ロバート・オッペンハイマー(キリアン・マーフィー)は、米政府から、原爆開発プロジェクトリーダーに任命される。「成果を見たい」という高揚感の中、忠実に任務を遂行し、実験は成功、原爆は投下される。
ところが、投下による甚大な被害を見て苦悩する。そして、ナイフで人を刺した者は罪に問われるが、ナイフを作った者はそうでないのか、という問いに終生向き合うことに。当時、鋭利なナイフを敵国ではなく自分が作ることは戦争を終結させる、つまり、さらなる殺人を抑止する手段と捉えていたのだが……。
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