植民地時代の葛藤を描く韓国「復讐劇」のすごさ 映画『復讐の記憶』、恨の文化をエンタメに昇華

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映画『復讐の記憶』のワンシーン
映画『復讐の記憶』/監督・脚本:イ・イルヒョン/企画・製作・脚本:ユン・ジョンビン/出演:イ・ソンミン、ナム・ジュヒョク、チョン・マンシク、ユン・ジェムン、ソン・ヨンチャン/上映時間:128分/9月1日から全国順次公開(© 2022 ACEMAKER MOVIEWORKS & MOONLIGHT FILM ALL RIGHTS RESERVED)

韓国エンターテインメントにおいて、ラブコメや純愛ストーリーと並んで映画ファンに熱い人気を得ているのが復讐劇だ。その根底には、時代を超えて絶え間なく繰り返されてきた朝鮮半島の戦争と被侵略の歴史がある。「恨(ハン)の文化」とも呼ばれ、生々しい暴力とともに描かれる裏切りや謀略が渦巻くシリアスかつリアリティーのある作品性で、ファンは日本にも多い。そんな韓国でなければ生み出せなかった復讐劇として注目したいのが本作だ。

根強くある立場や世代による葛藤

認知症を患う80歳を過ぎた主人公が、20代の青年をサポート役として雇い、家族を理不尽に亡くした復讐を60年越しに遂げようとする物語。そもそもの発端は、日本植民地時代の韓国社会。主権が消滅した国において、支配者側に寄り添った親日派と、当時の逆賊となった独立派それぞれの立場の主張を、現代社会に向けて投げかける。社会性とリアリティーを内包しながらもエンターテインメントに昇華した復讐劇になっている。

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