執念のリサーチがものをいう作品だ。本作は1990年代のインドで最も悪名高い無法者といわれる山賊王ヴィーラッパンのあらゆる顔をあぶり出す。当時、ヴィーラッパン率いる山賊一味の指名手配の容疑は、警官や森林管理官を含む120人以上の殺害に加えて、身代金目当ての誘拐、1000頭以上の象の密猟、大量の白檀(びゃくだん)の木の密輸にまで及ぶ。17年間にわたって捜査に費やされた総額は5000万ドル(約73億円)に達したという。
その凶悪ぶりゆえにインドでは語り継がれる人物である。南インドのジャングルで1万夜を過ごし、口ひげを蓄え、頬がこけた男のイメージは暴力的でありながら、実は称賛もされているのが興味深い。いまだにインド社会の一部では、不正と闘う「ロビン・フッド」として知られているのだ。
この記事は会員限定です。登録すると続きをお読み頂けます。
ログイン(会員の方はこちら)
無料会員登録
登録は簡単3ステップ
東洋経済のオリジナル記事1,000本以上が読み放題
おすすめ情報をメルマガでお届け
トピックボードAD
有料会員限定記事
無料会員登録はこちら
ログインはこちら