東日本大震災が日本経済に与えた(あるいは今後与える)影響を考える場合、次のようなカテゴリーに分けて識別する必要がある。
第一はすでに影響が生じており、その大きさをデータで確かめられるものだ。それは生産設備の損壊に伴う問題である。この影響は鉱工業生産指数や貿易統計にすでに表われている。
3月の鉱工業生産指数(季節調整済み)は82・9となった(左ページグラフ)。これは2009年7月の81・9以来の水準だ。前月比ではマイナス15・3%で、マイナス幅はリーマンショック後の09年2月の8・6%を上回り、1953年1月の統計開始以来、最大となった。前年同月比は、マイナス12・9%だった。
前月比を地域別に見ると、被災地はマイナス31・9%、被災地以外はマイナス13・5%だった。被災地以外に減産が波及したのは、震災でサプライチェーンが寸断された結果だ。業種別に見ると、輸送機械工業が46・4%減少。うち普通乗用車と小型自動車の減産率は50%を超えた。
グラフに見られるように、乗用車生産指数はリーマンショック直後とほぼ同水準まで落ち込んでいる。なお、日本自動車工業会が公表した3月の自動車国内生産・輸出実績によると、生産は前年同月比57・3%減の40万4039台で、66年の統計開始以来最大の下落幅となった。