年収激減!役職定年で3割、再雇用で半減の衝撃 銀行員は40代で出向か給料ダウンを迫られる

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だが、定年延長が義務づけられてから30年。「人生100年時代」ともいわれ、2021年からは70歳までの就業確保が企業の努力義務となるなど、シニア社員の活用に軸足が移りつつある。

バブル崩壊後に採用を絞ったことに加え、少子化も進み、社員の人員ピラミッドもいびつになっている。前述の銀行でも人手不足を見据え、優秀な行員を出向させず、そのまま専門職として雇い続けるコースを新設している。

しかしだ。あるメーカーに勤める59歳の男性は、次のように怒りをぶちまける。

「先日、退職後再雇用の説明会を受けたが、給料半減なんて知らなかった。急に言われても転職先なんてないから、しばらくは再雇用で働くが、急いでほかの仕事を探そうと思っているよ」

この男性のように、定年後の働き方として真っ先に選択肢に挙がるのが、これまで勤めてきた企業での「再雇用」だ。慣れ親しんだ職場で仕事内容も理解しており、培った経験や能力などを生かしやすい。

再雇用で4割が給料半減

とはいえ再雇用の収入ダウンは、役職定年のそれよりもさらに悲惨だ。前述のアンケートでも、50%以上ダウンした人が4割を超える。

また、「スキルダウンはしておらず、年齢条件だけでの収入ダウンには納得できない」といった声や、「目標管理や評価がなくなり賞与も固定なので、張り合いがなくなった」といった不満も多く寄せられた。

「シニア社員の活用」といえば聞こえはいいが、その実態はまさに地獄。そこで週刊東洋経済10月28日号「地獄の役職定年、定年後再雇用」特集では、役職定年や定年後再雇用の実態を明らかにするとともに、悲惨な状況に陥らないための新たな働き方についても紹介する。備えあれば憂いなし。失敗しない55歳からの人生設計法をお伝えしよう。

 
田島 靖久 東洋経済 記者

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たじま やすひさ / Yasuhisa Tajima

週刊東洋経済副編集長。大学卒業後、放送局に入社。記者として事件取材を担当後、出版社に入社。経済誌で流通、商社、銀行、不動産などを担当する傍ら特集制作に携わる。2020年11月に東洋経済新報社に入社、週刊東洋経済副編集長、報道部長を経て23年4月から現職。

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