リスキリングが「続かない人」に足りない4つの視点 習慣化を導く「ワークライフインテグレーション」

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それによると、行動に必要なのは「モチベーション」などではなく、「アイデンティティを形成すること」だと書かれています。アイデンティティというのは、「私はランナーである」「私は読書家である」のような自己認識を指します。

私は、「自分は◯◯である」と名乗るのが気恥ずかしいなら、動詞で語ることを提案しています。つまり「私はランナーである」と言うのが恥ずかしければ、「私はランニングをしています」と伝えればよいという話です。

しかし、同書の著者であるジェームズ・クリアー氏は、「私はランニングをする人である」ではなく、「私はランナーである」というアイデンティティを形成できれば、それに見合った行動を取りやすくなり、自分の人格と一致した行動を継続しやすくなると述べています。

習慣化を構成する4つの要素とは

とはいえ、そのアイデンティティを形成するためには、習慣化する必要があるという結論なので、「卵が先か、鶏が先か」のような話です。クリアー氏は、習慣化について以下の4つの要素で構成されると定義しています。

① きっかけ(いつどこで実行するのか、はっきりとさせる)
② 欲求(報酬への予測を魅力的にする)
③ 反応(行動がしやすくなるようにする)
④ 報酬(満足できるものにする)

①のきっかけは、「私は朝6時半に起きて、デスクに座って、7時半までの間にブートキャンプの授業を受ける」といったようなことです。

②の欲求を魅力的にするために、「習慣化したい行動」と「やりたい行動」をセットにする方法が紹介されています。いわゆる、ご褒美を用意しておく方法です。

③の行動をしやすくする方法のひとつとして、環境を準備することが挙げられています。例えば、学習に必要となる教材を、前日にデスクに一式用意しておくなどがあるでしょう。

④の報酬は、なるべく魅力的で満足できるものであることが大事です。報酬にはすぐに得られる「即時報酬」と、何かなし遂げた先に将来的な利益として得られる「遅延報酬」がありますが、即時報酬であればより習慣化しやすくなるでしょう。

リスキリングの話ではありませんが、私は運動を習慣化するため、外で走ったりジムに通ったりする代わりに、自宅用のランニングマシンを購入しました。これは③の「行動をしやすくする」を重視したからです。

天気の悪い日は走れない、有害物質で大気汚染されている日は走れないとなると、運動が習慣化しません。そうなると、やはり自宅にランニングマシンがあったほうがいいでしょう。結果的に、これはとてもよい投資になりました。

運動をして健康な体をつくるというのは、一朝一夕で成果が出るわけではありませんから、④に関しては遅延報酬とも受け取れます。

その半面、運動をした直後に得られる達成感や爽快感は即時報酬ともいえます。私は脳を報酬の仕組みに慣れさせるため、運動が終わった後は、自分に対してあえて小さく拍手をするようにしています。

実際にトレーニングのビデオを見ると、トレーナーの先生たちが何回も「自分を褒めて」「今日あなたはすごいことをした」と運動終了後に訴えているのは、科学的な根拠があるのです。

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