心臓病の最終段階、じわじわ襲う「心不全」の怖さ 心筋梗塞や狭心症は「治療すれば安心」ではない
健康寿命とは、健康上の問題で日常生活が制限されることなく生活できる期間をいう。平均寿命と健康寿命の差が大きいと、不健康な状態が長期にわたることになる。そのため、この差を縮小することが喫緊の課題だ。
平均寿命と健康寿命の差は、2010年から2019年までに縮小してはいるものの、依然として男性で8.73年、女性で12.06年ある。つまり、人生のうちに「不健康な期間」が残っているとも言える。
この健康寿命を延ばすために欠かせないのが足の健康で、心不全とも密接に関わっていると、横井氏。「健康寿命とは結局、人生で最後まで自分の足で歩けること。その点からも、下肢閉塞性動脈硬化症への適切な対応が重要」という。
下肢閉塞性動脈硬化症とは、足の血管が動脈硬化により狭くなったり、詰まったりする病気だ。それによりしびれなどが出て短い距離しか歩けなくなる。
心臓の冠動脈に動脈硬化がある患者の4人に1人に心臓以外の血管にも動脈硬化があり、下肢閉塞性動脈硬化症を放置すると心筋梗塞などの原因になる。結果的に心不全のリスクが高まる。
糖尿病、高血圧、腎不全などの基礎疾患があると、下肢閉塞性動脈硬化症になる可能性は、より高くなるといわれている。
心不全リスクがあったら行いたい対策
生涯にわたって健康に動き続け、平均寿命と健康寿命の差を小さくするためには、足の健康を維持することが不可欠だ。
バランスのよい食事や適度な運動を心がけ、動脈硬化に対しては早期発見・治療をすると共に、全身の血管を同時にマネジメントしていくことが重要となる。
心不全に関しては、最近は心臓リハビリテーション(心リハ)を採り入れる医療機関も増えていて、医療スタッフの監視の下でストレッチ体操や筋力トレーニング、歩行練習などが推奨されている。
これらを踏まえて横井氏はこう話す。
「心筋梗塞になって心機能が一時的に落ち込んでも、そこから心リハなどで適切な運動をして、適切な食事を続け、質の高い睡眠をとるなどの生活習慣を変えれば、酸素を取り込む量を増やすことができ、健康で長生きできる。心臓は再生しなくても最後まであきらめずに、人生は再生できると信じてほしい」
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