脳科学者が現代人に「モハメド・アリ集中法」推す訳 集中するだけでなく「いかに離れるか」も重要

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モハメド・アリとは、ボクシング界における伝説の世界ヘビー級王者で、その華麗なフットワークと切れ味鋭いジャブを駆使したスタイルが「蝶のように舞い、蜂のように刺す」と形容され、多くのボクシングファンを魅了しました。

では、モハメド・アリ集中法とはどのような集中法か。ひと言でいえば、何かに瞬間的に集中し、そこからぱっと離れて別のことに集中するという方法です。近年の脳科学研究では、脳が集中モードに入るときと同じくらい、そこからいかに離れるかということも、重要視されているのです。それは集中に関する脳の特性が関係しています。

脳は長時間集中できないと科学的に証明されている

皆さんの中には、一度何かに集中し始めると、そこからなかなか離れられないという人もいるのではないでしょうか。

ですが、私たちの脳が集中できる時間は限られていて、集中する内容や環境にもよりますが、大人でもせいぜい15分程度、子どもであればせいぜい5分程度だといわれています。つまり、私たちの脳は長時間集中できないということが科学的にも証明されている事実なのです。

そこで大事になってくるのが、ぱっと集中モードに入って、ぱっとその集中から離れる。まさに、蝶のように舞い蜂のように刺すようなモハメド・アリのボクシングのような集中法が最新の脳科学的には望ましいのです。

このモハメド・アリ集中法がなぜ今の時代にマッチした集中法かといえば、仕事自体が複雑化し、細かなタスクに追われるビジネスパーソンが多いからに他なりません。

また、いくら自分が集中して仕事がしたいと思っていても、次から次へと新しい仕事が降りかかってくることも日常茶飯事でしょう。

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