今後「PBR1倍超」企業も株価上昇が期待できるワケ 改革に消極的な企業は来夏までに追いこまれる

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他国に比べると売り要因が少ないと言われる日本株。日経平均も再び上昇が期待できるだろうか(写真:ブルームバーグ)

9月19~20日に開催されたアメリカのFOMC(連邦公開市場委員会)では、政策金利が5.25~5.50%に据え置かれた。これは事前の市場予想通りだった。

だが参加者による2024年末の政策金利の見通しが、中央値で5.1%と、前回から0.5%も引き上げられた。楽観派の市場参加者は「早期の利下げシナリオ」の修正を迫られ、米国株は下落で反応、やや波乱含みとなっている。

ドル高円安が継続、日経平均には中期で追い風

ただ、私は市場がいずれ落ち着きを取り戻すとみている。FRB(連邦準備制度理事会)のジェローム・パウエル議長もFOMC後の記者会見で「(自動車業界のストライキや原油高の波乱要因もくすぶるが)ずっと軟着陸を達成しようとしてきたし可能だと考えている」と強調した。

すでに市場は次回以降の3回のFOMC決定(11月1日、12月13日、来年1月31日)のなかで0.25%利上げを織り込んでいる。今後も日米金利差は拡大する可能性があり、為替はドル高円安傾向が続きそうだ。これはしばらく、日本株(とくに輸出関連株の比率が高い日経平均株価)には追い風になりそうだ。

一方、9月21~22日に開催された日銀政策決定会合では金融緩和政策の現状維持を決めた。植田和男・日銀総裁は次の政策修正の時期について「到底決め打ちできない」として、9月9日付の読売新聞インタビューをきっかけに市場で浮上していた「早期のマイナス金利政策解除の思惑」を打ち消した。

だが、物価は日銀の想定を上回って推移しており、今後は賃上げの持続力が焦点になる。これには来年の春季労使交渉(春闘)がシナリオを左右しそうだ。当面は、前述のように日米金利差はさらに拡大する可能性があるが、逆に来年のどこかでは円安効果に歯止めがかかる介入の可能性も視野に入れたい。ここからは円高メリットのある産業や企業についても、じっくり吟味する段階に入ったのかもしれない。

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