今後「PBR1倍超」企業も株価上昇が期待できるワケ 改革に消極的な企業は来夏までに追いこまれる

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この「第1弾」を受け、同じく東証上場部から上場会社への要請の形をとって8月29日に公表された資料が「第2弾」だ。資料は『資本コストや株価を意識した経営の実現に向けた対応』に関する企業の対応状況とフォローアップ」という長いタイトルで、全10ページにも及ぶが、私はこれを読んで、ズバリ「東証は大人の対応をしているが相当怒っているな」と感じた。

つまりひとことで言えば、一部の企業を除いて「宿題をちゃんとやっていないじゃないか」ということだ。だから、第1弾からわずか5カ月で「改革第2弾」を出すしかなかったのだ。

大半の企業が「第1弾の宿題」をこなさず夏が終了

報道もあまりされていないため、今のところは大きなうねりとなっていないが、私は今後大きなうねりが起きると確信している。それを以下で確認していこう。

東証は上場企業に『「資本コストや株価を意識した経営の実現に向けた対応」の開示を求めた。この「第1弾」の宿題の結果はどうだったか。7月までにまとまった東証の調査(3月期本決算企業対象)を簡略化して言うと、要請に応じてコーポレート・ガバナンス(CG)報告書の中で開示等とされたのは、プライム市場の31%(379社/1235社)。記載なしは69%(856社)だった。

だが、よく読むと上記の開示などの中には「検討中」が137社、全体の11%もあり、本当に開示したのは約20%にとどまる。また、スタンダード市場も「14%が開示(120社/887社)」としているが、やはり検討中がカウントされており、実質開示はわずか4%。東証は優しすぎる。

これで読者の方々もおわかりだと思うが、改めて言うと「東証の宿題」をこなしたのは「プライム市場で20%、スタンダード市場で4%」だ。真面目に宿題をやっていない。これはさすがにまずいだろう。「検討中という簡単な漢字3文字すらCG報告書に記載せず、白紙で出すなどありえない!怒怒怒」。と東証は思ったに違いない。

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