今後「PBR1倍超」企業も株価上昇が期待できるワケ 改革に消極的な企業は来夏までに追いこまれる

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10月以降の最大のリスク要因は米中関係だ。中国は、目先の経済成長よりも、半導体産業の育成など、アメリカとの覇権争いをにらんだ経済安全保障を優先しているように見えるからだ。もし2国間の緊張が再度高まるようなら、年末上値追いのシナリオが崩れることもありうる。

それでも、直近ではアメリカのジェイク・サリバン大統領補佐官(国家安全保障担当)と中国の王毅共産党政治局員兼外相が、9月16~17日に地中海のマルタ島で計12時間、建設的な会談をした、などの報道もある。11月11~17日にサンフランシスコで開かれるAPEC(アジア太平洋経済協力会議)に合わせた米中首脳会談の開催を期待している。

東証の「改革第2弾」が株価上昇を後押し

現在の日経平均株価はTOPIX(東証株価指数)に比べて出遅れており、年初来高値を上抜けできないでいる。だが、調整局面を経たとしても、今後は年末年明けに3万5000円の上限レンジに向かうとみる。

筆者がこう判断するのは、10月末から本格化する3月本企業の業績増額修正期待に加え、東京証券取引所が8月末、株価純資産倍率(PBR)水準にかかわらず資本収益性改善への取り組みを求めた「改革第2弾」がプラスに働くとみているからだ。

これは第1弾の「PBR1倍割れ脱却要請」によって圧力を受けた銘柄のPBR1倍回復はもちろんのこと、指数全体(TOPIXや日経平均株価)のさらなる押し上げ効果になる。少なくとも、来年4~5月の企業の決算発表・説明会や6月の株主総会までは、この流れが基本的に続くとみている。

そこでここからは「東証の改革第2弾」について、少し詳しく見ていこう。まずは改めて「改革第1弾」を振り返る。東証が「改革第1弾」である「市場区分の見直しに関するフォローアップ会議の論点整理」(全11ページ)を発表したのは今年1月30日のことだ。

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