東芝は「高学歴依存」から今度こそ脱却できるか 「デジタルがわかる初めての社長」への期待
「東芝」と聞いて多くの人は何を頭に思い浮かべるだろうか。経営混乱だろう。東芝が経営不振に陥ってからの8年間、耳にするのは経営再建に関するニュースばかり。メーカーであることを忘れてしまうほど、本業に関する話題で盛り上がることはなかった。
ところが、9月21日に発表された日本産業パートナーズと企業連合による株式の公開買い付け(TOB)成立により大きく風向きが変わった。12月にも上場廃止になる見通しだ。
東芝でデジタルがわかる初めての社長
TOB開始を発表した8月7日、島田太郎社長兼CEOは記者会見で「中長期の戦略をしっかり実行できるようになる。東芝は革新的な技術があるが、ビジネスとして成立させるには一定の時間がいる」と強調した。
2022年6月に発表した経営方針では、2030年度に売上高5兆円、営業利益6000億円を目標に掲げた。データサービスをその牽引車にする。長い歴史を持つインフラ事業から生じるデータを駆使することで、巨大テック企業5社GAFAMや、中国IT大手のようなプラットフォーマーに近いビジネスモデルを構築しようとしている。島田氏は社長就任時に自ら口にした「東芝でデジタルがわかる初めての社長」として長所を最大限に発揮する意向だ。
ハード主体の電機メーカーだったソニーグループが、2021年度に「ゲーム」「音楽」「映画」など3領域から成るエンターテインメント分野が連結売上高全体の50%を超えたように、東芝は「デジタルが分かる会社」に変身できるだろうか。
思い起こせば、ソニーがハードとソフトの両輪経営を構想し始めたのは創業者の盛田昭夫氏である。
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