東芝は「高学歴依存」から今度こそ脱却できるか 「デジタルがわかる初めての社長」への期待
島田氏は、シーメンス日本法人の専務から転じて2018年10月東芝に入社。コーポレートデジタル事業責任者、2019年4月執行役常務、2020年4月執行役上席常務を経て2022年3月から社長を務めている。
島田氏の学歴、キャリアは東芝において革命的変化である。上場廃止後の東芝の経営でも革命的変化を起こすか否かが見ものである。企業統治しか話題に上らなくなってしまった東芝が、本来の「技術の東芝」に再生するだろうか。
9月には、経営方針に掲げるデジタル化を通じたカーボンニュートラル・サーキュラーエコノミーの実現を加速するために、ドイツのデュッセルドルフに新しい技術拠点「リジェネラティブ・イノベーションセンター」を開所。ドイツ語に堪能な技術者である島田社長にとっては、「自ら牛耳れる」戦略拠点になりそうだ。
東芝社員マインドも変えられるか
島田社長は「東芝には私より頭の良い人はいっぱいいる」と自覚していると思われる。自分より優秀な人に活躍してもらうよう苦心するだろう。変革を実現するためには、知らぬ間に「学歴の天井」を感じて萎縮していた社員にも最大限の実力を発揮してもらわなければならない。
それには飛び越えなくてはならないハードルがいくつもある。そのような中にあって、TOBに際し受けた多額融資の金利負担増加が懸念される。想定以上に事業が悪化すれば「物言う金融機関」が事業や資産の売却を迫るかもしれない。
一般的には、上場廃止は失格の烙印が押されたと見られるが、島田社長はメーカー本来の仕事ができるとワクワクしている。そのような人にとっては、学歴などどうでもいいことなのだ。そして、いい結果を出し続けることができれば、高学歴会社の東芝社員にとっても、学歴が意味なきものに見え、よりそれぞれが能力を発揮しやすい環境が作られることになるのではないか。
「脱高学歴会社」という視点から評価しても、島田氏の社長就任は高く評価できる。改革がうまくいけば、東芝は学歴社会終焉のロールモデルを築けるかもしれない。島田氏が社長就任発表時の略歴に卒業大学名を書かなかったのは、このメッセージが含まれていたとも読み取れる。
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