企業取材を長くやっていて、いつも心に引っかかる言葉がある。
「ゴーイングコンサーン(going concern)」
日本語に訳せば、「営業し続ける事業体」といったところだ。
つまり、会社はいつまでも生き続ける、というのである。
私は記者になって間もない頃から、それに疑問を感じていた。レナウンや北海道拓殖銀行、山一証券、ダイエーの末路を追っていった。みな最後は破綻するが、かなりの時間、経営者や従業員が延命にもがき苦しむ。
「もう倒れた方がいいんじゃね」
正直、そう思った。
だって業界には他にも多くの会社があるし、なくなっても国民は困らない。経営者は地位を失うから必死だが、付き合わされる従業員はたまったものではない。
やめようよ。これって「負けの延長戦」じゃんか。
そう漏らすと、金融担当の先輩記者が血相を変えて怒りだした。
「おい、会社が倒れるなんて許されるわけないだろ。株式会社はゴーイングコンサーンなんだよ」
出た、ゴーイングコンサーン! 野村証券のサイトではこう解説されている。
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