「イルカの難病」に挑んだチームが見つけた新事実 高齢化が進む飼育動物、「健康維持」が課題に
オキちゃんの推定年齢は50歳以上。1975年、沖縄の日本復帰を記念して開催された沖縄国際海洋博覧会のマスコットで、県民が誰しも知る「沖縄の宝」だ。
「イルカは高齢化すると、人間と同じように肌ツヤが衰え、目などにさまざまな疾患が出てくる。また、運動量も減少していきます。オキちゃんがすごいのは、まだ現役でイルカショーなどに参加していることです」
こう笑いながら話すのは、同館を運営する一般社団法人沖縄美ら島財団総合研究所附属動物病院院長の植田啓一氏。28年間にわたり、海の動物たちと向き合ってきた獣医だ。
イルカも高齢化が社会問題に
動物社会も人間と同じように高齢化は社会問題になっており、イルカもこの20年あまりで生をまっとうする年齢が変化している。
「本来バンドウイルカの寿命は50年以上ともいわれており、飼育下での世界最高齢でも60歳以上です。しかし今、オキちゃんたちは50歳を超えようとしている。この先もまだ生きていくだろうと考えたとき、彼女がより健やかに過ごせるようなケアが必要になっている」(植田氏)
高齢のイルカが命を落とす原因の1つが、人間でも問題となっている腎臓の病気だ。しかし、イルカが腎臓疾患を発症する原因がわからず、これまで診断法や予防・治療法が確立されていなかった。そのため、腎臓疾患の原因を探ることが、イルカに長生きしてもらうための喫緊の課題だった。
こうした危機感と、「沖縄の宝を守りたい」という使命を持った植田氏を筆頭に、研究チームが結成された。
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