「脳のゴミ」を洗い流す睡眠が認知症予防する訳 睡眠障害と認知症の関係とは?医師が徹底解説

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 「グリンファティックシステムで睡眠中にアミロイドβを水洗いする」というのは、質の良い睡眠が十分にとれていることが条件です。

脳のゴミ掃除には、「上質な睡眠」が絶対条件

このことを証明する2019年10月に『サイエンス』誌で発表されたボストン大学の研究を見てみましょう。

研究対象は人間。実験は生理的な睡眠を再現するため、夜中の0時から行われ、被検者に脳波計をつけてMRIの中で眠ってもらったのです。つまり、睡眠の状態を脳波でチェックしつつ、同時に脳血流量や脳脊髄液の動態も測定したわけです。

その結果は「人が熟睡(ノンレム睡眠)するときに、ノルアドレナリンに連動する神経細胞の活動が減少し、脳の血流は停滞する。逆に脳脊髄液の流れが活発になる」というものでした。

つまり、「熟睡中にはグリアがアクアポリン4から脳脊髄液を積極的に取り込み、脳内組織は空間を拡大させ、組織抵抗を減少させ、アミロイドβの解毒の場を拡大する」ことが示唆されたのです。

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奥村 歩 日本認知症学会専門医・指導医 おくむらメモリークリニック理事長

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おくむら あゆみ / Ayumi Okumura

1961年生まれ。長野県出身の医学博士。岐阜大学医学部卒業、同大学大学院医学博士課程修了。 アメリカ・ノースカロライナ神経科学センターに留学後、岐阜大学付属病院脳 神経外科病棟医長併任講師、木沢記念病院勤務を経て、2008年に「おくむらメモリークリニック」を開院。設置した「もの忘れ外来」には全国から多くの人が来院し、これまでに10万人以上の脳を診断。脳神経外科医として認知 症やうつ病に関する診察も多く経験し、日本脳神経外科学会(評議員)・日本認知症学会(専門医・指導医)・日本うつ病学会他の学会で活躍している。

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