「八海山」世界進出で日本酒文化は広がるのか アメリカ生まれのホップを使った「SAKE」とは
そのうちの一つは、海外でつくられたことが信じられないほどの、日本酒らしい味。またホップを使ったものはやはり、ビールのようなほろ苦い味わいだ。これらに関しブルックリンクラCEOのブライアン・ポーレン氏は次のように説明している。
「NYではどんなものであっても、非常に高いレベルを求められる。そこでまずは基本として、伝統的な高品質のものを開発した。さらに、日本ではつくれないタイプのSAKE、ホップを加えたものを開発した。私たちは世界市場を目指し、きちんとした日本酒であると認められるような日本酒をつくっていきたいと考えている」(ブライアン・ポーレン氏)
また、世界市場に向けた動きの出発点としては、日本への販売を検討。「日本酒の本場で品質を試されることになる」(ポーレン氏)重要な一歩と捉えている。2024年販売開始は2024年の夏から秋をメドにしているそうだ。
なお、ポーレン氏はアメリカでSAKEづくりを行う事業者をまとめる「北米酒造組合(SBANA)」に加盟。「日本酒は作り方もサプライチェーンも特殊。まずは市場を盛り上げていくことが大切」と語っている。
日本酒は、それぞれが繊細さを要求される多くの工程を経てつくられる。地域の素材や蔵ごとの個性を生かして手作りに近い形で製造されたものが、1合あたり500円、1000円という価格で楽しめるのはとてもリーズナブルだと感じる。
後継者不足も大きな課題
一方で、日本酒のメーカーにとって生き残りの条件は厳しい。日本のほかの業界と同様に、酒蔵は中小企業が大半で、後継者不足も大きな課題だ。酒蔵数は1970年代の3000場以上から、現在約1500と半減している(国税庁『酒のしおり』令和2年版・酒類等製造免許場数の推移)。
今回のプロジェクトのように海外の知恵も借りながら新たな価値づけを行い、日本酒文化の復活を実現させてほしい。また、八海醸造のような大手のメーカーが事業の一環として行うことにも大きな意義があると感じる。
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