ジャニーズ問題、テレビ6局声明への違和感の正体 どういう構造でこうなったか解き明かされるか

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今回の性加害騒動に限らず、その他のスキャンダルやキャスティングなども含め、ジャニーズ事務所への忖度は、その各局横並びの1つ。しかし、世間の人々が多くの情報を得て賢くなった現在では、「各局横並びなら自局が責められることはない」という考え方が通用しなくなりました。逆に「ふだんは視聴率争いでバチバチのつぶし合いをしているのに、リスクがあることだけ結束するのはおかしい」などと見られかねないのです。

実際、ネット上のコメントを見ていくと、「テレビ局は示し合わせたかのように『重く受け止める』と言ってますが、今まで報道してこなかったことについて謝罪はしていません。自分たちは悪くないとでも思っているのでしょうか? 視聴者の多くはテレビ局も同罪、共犯者だと思っています」などの厳しい指摘が目立ちます。

そもそも世間の人々にとっては、長年ジャニーズ事務所に忖度してきた各局が急に態度を変えて「注視していく」「要望する」と言われても信用できないのではないでしょうか。この点でもネット上には、「テレビ局はジャニーズ事務所による性犯罪の共犯だ。タレント事務所の性犯罪を黙認し、テレビビジネスによる利益拡大を優先させた責任は重大」などと「注視」や「要望」する立場ではなく、共犯だろうとみなす声が続出していたのです。

「できるだけ事を荒立てず現状維持」で

くしくも30日放送の「羽鳥慎一モーニングショー」(テレビ朝日系)でコメンテーターの玉川徹さんが、今後行われるジャニーズ事務所の会見について、「会見に出るわれわれ側は、『そこで石を投げる資格があるのか』というのも同時に考えます」「その石を投げることができるのは、もしかしたら週刊文春だったりBBCだったり、フリーのジャーナリストとしてこの問題を追及してきた人だけかもしれないなと感じたりします」とコメントしました。玉川さんは今年7月31日で定年退職するまでテレビ朝日の所属だっただけに、その責任を感じているのでしょうか。

ただ、やはりこのコメントにも、「石を投げる資格がないどころか、石を投げつけられる側にいると思う」「誰が誰に石を投げるかなんてことより、どういう構造があってこういうことになったかをしっかり解き明かしたほうがいい」「『石を投げる資格』について、現場の記者は『わが社』より一歩進んで、ジャーナリズムを真摯に考えてほしい」などの厳しい声が見られました。

このような厳しい声があふれている状況を見れば、「重く受け止めている」「注視していく」「要望する」だけの声明が不十分だったことは間違いないでしょう。各局もそんな反発の声が出ることをわかっていながら、「それでも横並びで乗り切りたい」「それ以上の対応はジャニーズ事務所の会見が終わってから」という選択をしたところに、テレビ業界の旧態依然とした姿が表れていました。

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