ジャニーズ問題、テレビ6局声明への違和感の正体 どういう構造でこうなったか解き明かされるか
現在10月期スタートのドラマが次々に発表されていますが、ジャニーズ事務所のタレントが半数近くの作品で主要キャストに起用されています。彼らを重用して先週末に放送された「24時間テレビ」(日本テレビ系)なども含め、テレビ局は「できるだけ事を荒立てず、現状維持で進めたい」というのが本音ではないでしょうか。しかし、人々から「共犯」とまで言われているジャニーズ事務所との関係性を過去にさかのぼって検証し、そのうえで今後の姿勢を示していかなければ理解は得られないでしょう。
ジャーナリズムよりビジネスの危うさ
これを書いている私自身、これまで20年強にわたってテレビ局、出版社、新聞社、ウェブメディアの制作現場と仕事をしてきましたが、それぞれのジャニーズ担当者は、そのほとんどがつねに事務所の顔色をうかがうように仕事をしていた印象があります。
大手メディア勤務の言わばエリートたちが、まるで弱者のようにジャニーズ事務所の意向に従い、ジャーナリズムよりビジネスを優先させられ、あきらめたような表情を浮かべる姿は、外部から見ていて異様なものがありました。
その異様さは、キャスティングや内容への間接的な関与、スキャンダルへの沈黙など多岐にわたりましたが、なかでも顕著だったのは、2016年のSMAP解散騒動。「テレビ、雑誌、スポーツ新聞などがジャニーズ事務所の意向を汲んだ対応をしてメンバーを追い込んだのではないか」と多くの人々から批判を浴びたのは記憶に新しいところです。
テレビ局の番組出演に限らず、出版社なら雑誌出演やカレンダーなどの販売、新聞社なら掲載許可と情報や素材の提供など、「ジャニーズ事務所に売り上げを頼り、今後もそうしていきたい」というメディアが多いのは、誰がどう見ても間違いのないところ。そんな背景を自負したうえで行われるジャニーズ事務所の営業力は高く、ビジネス手法としてはありなのでしょう。しかし、2019年に公正取引委員会から注意を受けたほどの強硬な営業手法は、組織の透明性や個人の尊重が求められる現在の世の中には合っていません。
そのメディアの異様さや時代に合わない営業については、これまでジャニーズ事務所に忖度しない東洋経済オンラインのようなメディアで何度か書いてきましたが、追随するメディアが少ないためか、まったく変わりませんでした。ところが、性加害疑惑の指摘を海外から受け、国連が動き、認定されたことで、メディアは手のひらを返すようにジャニーズ事務所を断罪しはじめています。
私自身、現在もテレビ局、出版社、新聞社、ウェブメディアのすべてと取り引きがあり、内部事情をそれなりに知っていますが、現段階では「今回を機にメディアが本当に変わるとは思えない」のが正直なところ。各局横並びで1行レベルの声明文を見たとき、明るい未来はイメージできなかったのです。性加害の被害者救済と再発防止策が進められるのはもちろん、それと同等レベルで、今回を機にメディアが本来あるべき姿となることを願ってやみません。
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