慶應野球部の教えが「数学嫌い」にも役立つワケ 「フェア」と「楽しむ」姿勢を重視すると伸びる

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107年ぶりの優勝を果たした慶應高校(写真:時事)

第105回全国高等学校野球選手権記念大会で優勝した慶應義塾高等学校野球部、準優勝した仙台育英学園高等学校野球部の皆様、そして関係者皆様には、心からお祝い申し上げる次第である。

筆者は幼稚舎(小学校)から高校まで慶應義塾で学び、当時は数学を専門に学ぶ学科が慶應大学にはなかったので、工学部への推薦を辞退して他大学の理学部数学科に進学した変わり者である。もっとも大学教員になってから、幼稚舎や普通部(中学校)で講演をしたり、幼稚舎出身の数学が苦手な慶應高校生に家庭教師を行ったりしてきたこともあって、今回の慶應高校野球部の優勝には心から嬉しく思っている。

現在、慶應高校野球部選手の頭髪にとくに注目が集まっているが、筆者のクラスメイトだった野球部選手も丸刈りでない普通の髪型であった(1968年度)。そのようなこともあってか、高校生の頃から「髪型は野球に邪魔にならなければ気にすることではない」と思っていた。本稿では慶應高校野球部の野球に対する姿勢は、勉学や人生、とくに数学の学びにも大いに参考になることを述べたい。

相手チームに拍手を送るフェアプレー精神

まず、野球部の部訓では「授業態度の悪い者、学業向上に努力しない者、欠席・遅刻の多い者、学校の教育活動に積極的に参加しないものは、練習や試合に参加させない」として、学校生活の第一義は学業にある心得を述べてある。これは当然のことかもしれないが、「相手チームの好プレーに対しては拍手を送る余裕を常に持ちたい」という部分にも注目したい。

筆者が幼稚舎生の頃、学校として早慶戦に応援に行ったときのことである。後に幼稚舎長に就任された当時担任の庄司恒先生は試合中、早稲田大学の選手の好プレーにも拍手を送っていたのである。クラスの生徒は皆、「えー?なんで?」ということを発言したり不思議に感じたりした。この段階から「フェアプレー」の教えが実践されていたのである。

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