「夏休み終了がつらい!」を乗り越える3つの準備 休日モードから平日モードへ戻すための手順

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(3)学習について

学習に関しては一般論ですが、新学期になって大きな差がついているということはあまりありません。もちろん、夏休み中に最低限の課題をやっていることが前提となりますが、受験生を除いて、夏休み中に猛烈に勉強していたという子はほとんどいないと考えています。

ただし、算数について、ほとんど手をつけていなかったとしたら、差がついている可能性があります。算数は筋トレに似ており、一定期間やらないと計算力含め鈍っていきます。もちろん9月以降に取り戻すことは可能ですが、9月になると学校は学習内容を先に進めるため、新しい学習をしながら力を取り戻していくことになるため負担が増えていきます。

ただし、伊東さんのお子さん含め、ほとんどの小学生は夏休みの宿題+α程度は行っており、算数をほとんどやっていないとは考えにくいため伊東さんが心配するほどの差はついていないと考えられます。

適切な伝え方でモード転換を促すことが大切

以上をまとめると、この時期の大切なキーワードは、「生活時間のモード転換を行う」になります。その中でも核となるのが、起床時間です。これでリズムを1週間程度で戻していきます。

最後に大切なことを1つお伝えします。それは「伝え方」についてです。

上記のことを、親が主導で行うわけですが、子どもの同意なく、また理由を子どもに伝えることなく一方的に進めることだけは避けてください。

例えば、「もうじき学校が始まるんだから、早く起きる練習しておかないとね!」という言葉は、一見丁寧に伝えているようにみえますが、現実的には一方的な命令に近い言葉になっています。このような言い方では子どもは全く反応しないと思います。なぜなら理由がないことと、実行することのメリットが感じられないからです。

そのような命令的表現ではなく、「身体のリズムを元に戻すのに1週間はかかるみたいだから、学校始まる1週間前から調整をしていくのはどうかな。そうすると学校が始まるとき、とても楽になるみたいだよ」と提案と伝聞形で話をしてみてください。そして、子どもがこの提案を受け入れたら、夏休みモードから学校モードへ調整するプランを子どもと一緒に立ててみてください。すると初めから新学期のリズムに乗ることができると思います。

以上、参考になれば幸いです。

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石田 勝紀 教育デザインラボ代表理事、教育評論家

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いしだ かつのり / Katsunori Ishida

1968年横浜生まれ。20歳で起業し、学習塾を創業。4000人以上の生徒に直接指導。講演会やセミナーを含め、5万人以上を指導。現在は「日本から 勉強が嫌いな子を1人残らずなくしたい」と、Mama Cafe、執筆、講演を精力的に行う。国際経営学修士(MBA)、教育学修士。著書に『子ども手帳』『子どもを叱り続ける人が知らない「5つの原則」』、『子どもの自己肯定感を高める10の魔法のことば』ほか多数。

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