独自路線のあおぞら銀、金利上昇どう乗り越える 谷川啓・あおぞら銀行社長インタビュー

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――金利動向は、あおぞら銀行が融資に注力する不動産市場にも影響を及ぼします。

物件の用途によってさまざまだが、レジ(住宅)は価格が高くなりすぎている気がする。地方都市で億ションが登場している状態も、正常かどうかの判断が難しい。調整局面が訪れたほうが、長期的にはいいのかもしれない。これからポイントになるのはオフィスだ。大規模な開発案件が多いうえ、オフィス回帰がどの程度進むかを見極める必要がある。

日本の不動産は価格が下がっていないので、足元では資金が大規模に動いている印象は受けない。ただ、金利に先高観があり空室率も高止まりすると、キャッシュフローの前提が変わり価格が調整される。そうなれば、投資家も動きやすくなるだろう。

北米のオフィス市況は見極めが困難

――北米地域の不動産は、急激な金利上昇によって流動性を喪失しました。あおぞら銀行の不動産向け融資の現況は。

レジとホテルは一時期価格が2~3割ほど下がったが、今は流動性が戻りファイナンスもついている。難しいのはオフィスだ。現在の価格がどこにあるのかの見極めが難しい。隣のオフィスはよくて、こちらがダメという状況が普通にある。特にサンフランシスコなどの西海岸は価格上昇が急激だった分、谷も深い。オフィスビルをレジに改修する動きさえある。一方、価格が下がれば買いたいという投資家は多く、今年は売り手と買い手の目線を調整する1年になるだろう。

アメリカのオフィス向けノンリコースローン残高は、(2023年6月末時点で)18.5億ドル。このうち何らかの対処が必要なものは1割で、残りの8~9割の債権にはまったく問題がない。LTV(ローン・トゥ・バリュー。不動産の評価額に占める借入金の割合)は6割程度に抑えている。担保物件が半値にでもならない限り、債権が毀損されることはない。

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