独自路線のあおぞら銀、金利上昇どう乗り越える 谷川啓・あおぞら銀行社長インタビュー

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――成熟期や衰退期の企業再生もあおぞら銀行の特徴です。足元では企業の倒産件数が増加していますが、再生需要は増えそうですか。

企業再生は地域金融機関と協力して進めているが、地域によってバラつきがある。九州地方は半導体投資や不動産開発が好調だが、人口減少が進んでいたり、地場産業の浮沈の影響を受けたりする地域はそうではない。再生の打診自体は増えているが、実際に案件として取り上げるに至るのは、来年か再来年だろう。

――エクイティ投資やLBOなど、あおぞら銀行が得意とする分野に地銀が続々と参入しています。

地銀の投資対象は地元企業で、ファンドやお金があってもさまざまな事情があって投資できない場合もある。われわれは地元のしがらみがなく、取引先の状況を客観的に評価できる。地銀とは競合というより協力関係だ。

LBOは2000年から取り組んでおり、メガバンクに次ぐ、あるいはそれに並ぶ主要プレーヤーだ。近年はバイアウトという考え方が普及し、中小企業であってもバイアウトを検討している。われわれは投資ファンドとの関係を相当構築しており、相談を持ちかけられる案件も増えている。地銀が進出してくることは、マーケットが拡大していく意味では望ましい。

「メガを上回る」初任給に

――中計では、向こう3年間で人件費を約20億円増やすと掲げました。

新卒には初任給、中途採用にはスペシャリストに対する高い処遇を提示するためだ。特に初任給は、2024年に入行する新卒から26万5000円に設定する。われわれを選んでもらうべく、これまでもメガバンクと同等ないし少し上に設定してきた。人事評価制度も変えたことで、ベースアップも含めれば年間4%の賃上げになるだろう。

谷川 啓(たにかわ けい)/1962年生まれ。1985年早稲田大学卒業、日本債券信用銀行(現あおぞら銀行)入行。2012年執行役員ビジネスバンキング本部長、2014年常務執行役員金融法人・地域法人営業本部長、2018年代表取締役副社長執行役員などを経て、2020年6月から現職(撮影:梅谷秀司)

――東京証券取引所から、資本コストを意識した経営を要請されています。あおぞら銀行のPBR(株価純資産倍率)は0.7倍台。1倍への道筋は。

PBRは以前から意識をしている。積極的な株主還元が奏功し、1倍を超えていた時期もかなりあったが、(PBRが1倍を割っている)ここ数年の状況は株主の期待に十分応えられていない。PBR1倍を達成するために、ROE10%を目標に据えている。まず2025年度に8%を達成し、次の中計で10%を目指す。

1957年に(あおぞら銀行の前身である)日本不動産銀行が設立された当初は、中堅・中小企業への資金供給が目的だった。その時々に必要な機能を追いかける姿勢は変わっていない。他社がやらないような新しいことに取り組み、リスクテイクをして目標に近づけていきたい。

一井 純 東洋経済 記者

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いちい じゅん / Jun Ichii

建設、不動産業の取材を経て現在は金融業界担当。銀行、信託、ファンド、金融行政などを取材。

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