入園者0でも最高売上高「さくらんぼ農場」の秘策 震災やコロナ禍という大ピンチに見舞われた

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さくらんぼ
やまがたさくらんぼファームの「佐藤錦」。同社はコロナ禍などありながらも、先進的な取り組みで12期連続黒字を達成している(写真:やまがたさくらんぼファーム提供)
今、山形の農業法人でもっとも注目される「やまがたさくらんぼファーム」。果樹の生産、販売、観光、加工、飲食の5本の柱で持続可能な農業経営を目指しながら、先駆的な取り組みで12期連続黒字を達成しています。
本稿では、やまがたさくらんぼファームを率いる矢萩美智氏の著書『さくらんぼ社長の経営革命』より、東日本大震災やコロナ禍といった経営を揺るがす事態の中で同社がピンチをいかにチャンスに変えてきたかを紹介します。

年間売り上げの半分以上を「観光」で稼いでいた

2020年、コロナ禍で観光農園に逆風が吹き荒れる中、それまでの強みだったさくらんぼ狩りの入園者数が0になりました。しかし、やまがたさくらんぼファームの売り上げは年商3億円を突破し、過去最高に達しました。

私たちの事業は、果樹の生産・販売・観光・加工・飲食の5本の柱で構成されています。その中でも、大きな売り上げを占めるのが「観光」と「販売」です。特に観光農園は、山形県内最大級で毎年約6万人のお客様を集客していました。年間売り上げのおよそ半分を観光部門で稼いでいたのです。

コロナ禍では観光の売り上げは見込めないと判断し、販売チャネルを「観光農園」から「通信販売」へ大きくシフトしました。特に自社のネット販売に注力し、今まで観光部門に使っていた戦力を迷わずそこへ振り向けました。結果、今までの「観光農園」を大きく上回る「通信販売」の売り上げを確保し、危機を乗り越えることができました。それどころか、気づけば過去最高売上高になっていたのです。

なぜ、こんなことができたのでしょうか? それは、以前とても「悔しい経験」をしていたからです。

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