入園者0でも最高売上高「さくらんぼ農場」の秘策 震災やコロナ禍という大ピンチに見舞われた

著者フォロー
ブックマーク

記事をマイページに保存
できます。
無料会員登録はこちら
はこちら

印刷ページの表示はログインが必要です。

無料会員登録はこちら

はこちら

縮小

2022年には、さくらんぼ狩りの入園料にダイナミックプライシングを取り入れました。A、B、C、3パターンの入園料を設け、過去の入園者数の推移を参考にしてさくらんぼ狩りの入園料を決定します。

例えば、ハイシーズンである6月の土日は、一番入園料が高いA料金になりますし、お客様が少なくなる7月の平日は一番安いC料金にします。そうすることで、土日の混雑を緩和させ入園者数を平準化させることができました。

また、入園料の見直しを行い、くだもの狩りの内容に付加価値をつけ差別化することで、団体旅行の価格競争に入らなくても自社でしっかりと集客できる仕組みをつくりました。2023年のさくらんぼ狩りの入園者数は、2019年の半分ほどですが、入園料の総額は約9割まで回復し、顧客満足度も上昇しました。

コロナ禍は「チャンス」になった

ここまで私たちが「なぜコロナ禍を乗り越えられたか」をご紹介してきました。突然、何かの理由で販売ルートがなくなっても、それにかわるものを作っておくことや、外的要因から経営を守るためにはつねに予備対策が必要です。

私たちは「観光農園」にかわる「通信販売」という売り上げの柱を構築していたからコロナ危機を乗り越えることができました。「観光農園」の柱が倒れたコロナ禍は「通信販売」の柱を太くする機会だったかもしれません。

さくらんぼ社長の経営革命: 入園者ゼロになった観光農園の売上を過去最高にできたしくみ
『さくらんぼ社長の経営革命』(中央経済グループパブリッシング)。書影をクリックするとAmazonのサイトにジャンプします
矢萩 美智 やまがたさくらんぼファーム代表

著者をフォローすると、最新記事をメールでお知らせします。右上のボタンからフォローください。

やはぎ よしとも / Yoshitomo Yahagi

1976年山形県天童市生まれ。果樹農家の三代目として1998年に就農。2011年法人名をまがたさくらんぼファームに変更し代表取締役に就任。王将果樹園園主、oh!show!caféオーナー、やまがたおいしいじはんき仕掛人。経営理念と目標を掲げ、自社の強みを最大化する戦略と戦術を構築し、果樹の生産、販売、観光、加工、飲食の5本の柱で持続可能な農業経営を目指す。異業種と連携した独自の6次産業化モデルを確立し、農林水産大臣賞を受賞。農林水産省認定の農福連携技術支援者として、障がい者雇用を増やす。視察受入や講演講師を積極的につとめ、食育や農業者の育成に力を入れる。

この著者の記事一覧はこちら
ブックマーク

記事をマイページに保存
できます。
無料会員登録はこちら
はこちら

印刷ページの表示はログインが必要です。

無料会員登録はこちら

はこちら

関連記事
トピックボードAD
ビジネスの人気記事