「理想的な家族」を盲信するのは間違っている

下重暁子「家族という病」を読んで感じたこと

家族ほどしんどいものはない?(写真:tooru sasaki/PIXTA)

発売1カ月で第七刷発行という『家族という病』(幻冬舎新書)は、キャッチコピーが、「家族ほどしんどいものはない」です。「家族ほどしんどいものはない」が世の中にウケるなんて、どういうことでしょう? 私は少し焦りを感じて読みました。

著者の下重暁子氏は、父上の主治医から「あなたは、テレビの中でいつも優し気にほほ笑んでいる。たくさんの人々があなたの笑顔にだまされているが、なんと冷たい女なのだ。結核病棟に老いの身を横たえている父親を一度も見舞いに来たこともないではないか」という衝撃的な手紙を受け取っています。

「家族はしんどい」が賛同を得た?

このような両親との間にあった深刻な確執問題を除けば、この本には特に新しいことはあまり書かれていません。知的で優しいイメージの下重氏でさえ、お父上をそこまで避けてこられたことが、同じような問題を抱えている多くの読者を引きつけたのでしょうか。

しかしその部分だけで、これほどの版を重ねるとは思えません。なぜこの本は、多くの人に読まれているのか。今回は読者からの相談への回答ではなく、この本について考えてみます。

書かれている内容は、「なぜ事件は家族の間で起きるのか」「遺産を残してもいいことはひとつもない」「子離れができない親は見苦しい」「他人の家族との比較が諸悪の根源」「家族に血のつながりは関係ない」など、どれも以前から言われていることが多く、目新しいことが書かれているわけではありません。

次ページ平和な家庭より、問題だらけの家庭のほうが多い?
キャリア・教育の人気記事
トピックボードAD
関連記事
  • あの統計の裏側
  • Amazon週間ビジネス・経済書ランキング
  • トクを積む習慣
  • 子どもを本当に幸せにする「親の力」
トレンドライブラリーAD
  • コメント
  • facebook
0/400

コメント投稿に関する規則(ガイドライン)を遵守し、内容に責任をもってご投稿ください。

アクセスランキング
  • 1時間
  • 24時間
  • 週間
  • 月間
  • シェア
トレンドウォッチAD
不動産バブル崩壊前夜<br>あなたの街は大丈夫?

日増しに強まる「不動産価格は高すぎる」の声。融資姿勢の厳格化など、バブルは崩壊前夜の様相を呈している。投資市場と居住用実需の現場に迫るほか、首都圏主要駅別に2025年の地価を予測、下落率を一覧にした。