記憶喪失と夫の突然死を背負った絵描きの短い命 膨大な遺品整理、死と隣り合わせだった暮らしとは

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<入院生活が長かったから、「もしまた自分が突然いなくなった場合」を考えて娘に自分で出来ることの範囲を広げている。昨夜は台所のビーカーが身長より高い位置にあったので、届かない。わたしがとれば早いのだが、「もぐちゃんどうやったらとれるか自分で考えてみて」>
(2016年10月6日/こさささこ@kosasasako/X(Twitter)より)

趣味人が残した膨大なコレクション

苦難は家族で乗り越えていった。2017年11月にこささんに異変が起きて入院した際も、正高さんは仕事を制限して家のことに注力している。

<そんなわけで、奥さんが入院している関係で、家事と子どもの世話を一手に引き受けることになったため、現在、勤務校での仕事以外の仕事ができなくなっております。今回は長期入院ということもなさそうですので、お仕事をご依頼いただいている関係者の皆様は、いましばらくご猶予いただけると幸いです。>
(2017年11月7日/吉田正高@yoshidamasataka/X(Twitter)より)

 

こさささこ

こささんの投稿を引用するかたちで発信(吉田正高さんのXより)

8歳年上の正高さんは、こささん曰く「いつも面白いことを探している人」だ。大学で教鞭をとりながら、大好きなアニメやマンガ、ゲームの研究に熱中し、2009年には「コンテンツ文化史学会」を立ち上げて会長に就くなど、趣味と仕事を高度に両立するバイタリティに溢れていた。一方で妻や子供に関するつぶやきも大量に残しており、良き趣味人と良き夫、良き父も両立していた様子がうかがえる。

その正高さんが、冒頭で触れたとおり、この5カ月後に心筋梗塞で急逝する。48歳だった。

<子供みたいな人でした。でも、大人らしく、キチンと仕事も出来る人でした。もっともっとたくさん研究する事があるんだといつも言ってました。時間が足りないといつも言ってました。でも、時間が足りずに逝ってしまいました。>
(2018年4月3日/こさささこ@kosasasako/X(Twitter)より)

あまりに突然で、受け入れるのが難しい。それでも膨大なやるべきことがこささんの両肩にのしかかってきた。

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