e-fuelは「自動車脱炭素化」の切り札となれるか 安価な水素と大気中からのCO2捕集が不可欠

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Haru Oni projectのパイロット工場(出所:HIF Global)

今年3月、ヨーロッパ連合(EU)は2035年以降、ガソリンなどで走るエンジン車の販売を全面的に禁止する方針を転換し、e-fuel(合成燃料)のみを使用する自動車は2035年以降も容認すると発表した。

e-fuelは再エネ電力由来の水素とリサイクル利用の二酸化炭素(CO2)を合成して作るカーボンニュートラル燃料だ。 自動車の脱炭素化=電動化(EVシフト)だが、新たに作る自動車はよいが、既存のガソリン車を電動化することはできない。走っている自動車すべてのCO2を削減するためにもe-fuelへの期待は高い。

風と水からカーボンニュートラル燃料

現在、南アメリカ・チリで世界初となる商業規模のe-fuel製造プラント構築を目指すHaru Oniプロジェクトが動き出している。「Haru Oni」は先住民の言葉で「強風」を意味する。プロジェクトのサイトがあるチリ南部のマガジャネス地方は、強い風が年を通して安定的に吹き続ける風力発電には最適の場所だ。

この電力を使って水を電気分解すれば、低コストでグリーン水素を製造できると期待されている。もう一つの原料CO2については、大気中のCO2を直接捕集するDAC(Direct Air Capture)と呼ばれる手法を採用している。

CCS(二酸化炭素回収貯留)は工場などの排ガスからCO2を回収して地下貯留するのでカーボンニュートラルだが、DACはもしCCSと同じように捕集したCO2を地下貯留すれば、カーボンニュートラルを超えて大気中のCO2を実質的に減少させる(=ネガティブエミッション)画期的な技術だ。

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