とにかく効率を考えず、必死に教科書を書き写して丸暗記をしていた西岡さんは、そこで初めて自分のやり方に固執し、「独りよがりで勉強していた」ことに気づいたと言います。
そして先生のその教えをさらに自分で深めたのが、2つ目のナチスが設置したダッハウ強制収容所に行ったときの経験だったと言います。
「もともとこの収容所の存在は、世界史の教科書で勉強して知っていました。でもそこのガス室に入って、すごく無機質・機械的なふつうの部屋だったことに衝撃を受けたんです。淡々と人を殺して埋めるためにどうすれば効率がいいかだけが考えられていて、人情のかけらも考慮されていない仕組みが、あまりにも残酷でした。
でも、それとは対照的に、この施設から見えた野原に太陽がさんさんと降り注ぐ景色がものすごく綺麗だったことも印象に残ったんです。きっと強制収容所の人たちも、つらい日々の中でこの風景を見て心を穏やかにしていた日もあったのではないかと、当時の人々の生活に思いをはせることができました。
自分は世界史の勉強をしているつもりだったのですが、年号と事件を記号的に覚えていただけで、本当は何もわかっていなかったんだと痛感したんです」
東大に合格した人達から勉強方法を学ぶ
こうしてドイツの日々で自身の勉強の方法や姿勢を反省し、大きな学びを得た西岡さんは、2浪目に入ってから自身のやり方を大きく変えます。
「自分の殻を壊して、東大に合格した友達や、頭のよかった知り合い、先輩に片っ端から話をして、『お願いだからノートを見せてください』『恥を忍んで聞くけど、どうやって勉強しているの?』と聞きまくりました。そうやって教えてくれた50人分の勉強法を全部試したんです。
今までは自分がやっていることがどれくらい正しいかわからなかったのですが、お願いすることで、頭がいい人がどうやって勉強しているかがわかってきました。人の話を聞いたり、頭を下げてお願いをしたりできるようになったのも、ドイツの日々で応用が大事だと気づけたおかげです」
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