親に会うたびに体調を崩す、気持ちが暗くなるなど、ストレスが明らかであれば、会う頻度を減らす、電話の時間を短くするなど、今の自分にとってほどよい距離を探ってみてください。
「子は3歳までに一生分の親孝行をしている」という考え方もあります。乳幼児のころの愛らしさ、それ自体が親孝行なのだという考え方です。恩はもう十分返しているのだから、距離をとってもいいんですよね。そのほか「親は完璧ではなく、未熟なんだ」と思ってみるのもいいでしょう。
この「9つの自由」は、子育て中の親が意識しておくのもいいですね。子どもにこの9つの自由があるか、という視点でみてみるのです。子どもが親に文句を言ったり、気軽に頼みごとができるかどうかはわかりやすい指標です。
幼い子なら「ママ嫌い/パパ嫌い」と言えるか、日常のなかで「これやってよ」「えー! そんなのやだ!」と気軽に言えるかどうか。ひたすら我慢したり、不満を溜め込んで爆発するのではなく、親に「こうしてほしい」と言えているのであれば、子は「自分の感情や欲求を表現しても大丈夫だ」という安心感のもとに育っているのでしょう。
親子関係はすべての人間関係の雛形
ここまで親子関係についてみてきましたが、親子関係はその後の人間関係の雛形になります。つまり、多くの場合、大人になっても子どものころの生存戦略が使われるのです。
自分よりも親のニーズを優先することを学んだ子は、職場でも同様に振る舞います。自分の仕事だけでも大変なのに同僚を手伝うことを優先したり、体調が悪くてもまわりに迷惑をかけられないからと休まず働いたり。
まわりからみれば真面目に働いている社員ですから、上司も同僚も、なかなか本人の苦しさに気づけません。仕事を1人で抱え込んでしまい、「もうムリだ」と会社を辞めるものの、転職先でも「まわりのニーズを優先する」という生存戦略をとってしまい、同じような状況になってカウンセリングに来る方もおられます。
また、前回の記事でその違いに触れた「内在化タイプ」と「外在化タイプ」ですが、内在化タイプの部下は外在化タイプの上司と相性が悪い場合があります。
書籍『親といるとなぜか苦しい』によれば、外在化タイプは何かあれば他の人や環境のせいにし、極端に自分に自信がないか多分にうぬぼれているかのどちらかで、人にやってもらう、人に与えてもらうことを当然だと考えている、とのことです。
相手のせいにしやすい外在化タイプと、自分のせいにしやすい内在化タイプが組むと、内在化タイプが押し負けることになります。
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