「法律術」コンプライアンス違反を排除する3カ条 ビジネスパーソンが最低限守りたいルールとは

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(イラスト:髙栁浩太郎)

以上のようなコンプライアンス問題を起こさないために、個人と組織の双方とも対策が必要だ。

まず何が問題となりうるのか、最低レベルの知識を押さえておくのは基本となる。例えばパワハラ・セクハラに関しては、国のガイドラインなどもまとめられている。インターネットで検索する、参考書を読むなどするとよい。

知識は個々の社員にとっては、コンプライアンスに抵触する業務を命じられた際の自衛策ともなる。「○○法に引っかかりませんか?」「まずそうなので、念のため法務部に確認します」などと言えるようにしておきたい。

ルールを明確にて社内で共有

組織としては、ルールを明確にし、社内で共有することが肝要だ。例えば相手によっては、何がパワハラ・セクハラになるか、何が企業秘密の漏洩に当たるのかの具体的な説明が必要となってくる。

そして基盤となるのが、しっかりとした内部統制の整備だ。

横領などは行った本人が悪いのは間違いないが、そもそも個人が誰にも知られずお金や取引金額を管理できる体制に問題がある。必ず他者がチェックするなど、1人で完結できないような業務プロセスを整備しておくことで、トラブルやミスを防げる。属人的になってしまわないよう、随時、担当者を入れ替えなければならない。

最後に、組織がコンプライアンスを徹底するうえで肝要なのが「懲罰」と「評価」である。違反があれば懲罰を行い、内外に発表する。これにより「コンプライアンスを徹底する企業」として、社員の意識が高まり、企業イメージも保たれる。さらに「評価」は、「誰が出世するか」であり、組織においては重視されるべき要素である。コンプライアンスに問題のある人物が出世すると、「ルールを守っても意味がない」という雰囲気になり、いくら体制を整えても、組織内のコンプライアンスが正されなくなる。

秋山 進 プリンシプル・コンサルティング・グループ 代表取締役

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あきやま・すすむ

リクルートで事業・商品企画などを担当後、独立。リスク管理支援などを事業とするプリンシプル・コンサルティング・グループ代表取締役。コンプライアンスに関する著書多数。

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