そごう・西武売却延期「史上最低ディール」の裏側 契約実行の無期限延期に「仕切り直すべき」の声
「抵抗するなら(そごう・西武の)社長をさっさと交代させるしかないんじゃないか!」
今年2月、セブン&アイ・ホールディングスの本社では、こんな怒鳴り声が響いた。
事情に詳しい関係者によれば、声の主はフォートレス・インベストメント・グループ日本法人の山下明男氏。セブン&アイから傘下の百貨店、そごう・西武の全株式を購入する契約を結んでいる米投資ファンドの日本代表だ。
山下氏は、「机をたたきながら、かなり怒っていた」(セブン&アイ関係者)というが、それも無理はない。セブン&アイが契約を一向に実行せず、期日の延期を繰り返しているからだ。
2022年2月、セブン&アイはコンビニエンスストア以外の事業からの撤退を求める米バリューアクト・キャピタル・マネジメントに応える形でそごう・西武の売却を決断。2度の入札を経て、11月11日にフォートレスに全株式を2000億円超で売却する契約を締結した。
契約が実行されないばかりかメドさえ立たず
ところがだ。期日の2月1日になっても契約が実行されないばかりか、メドさえ立たず、セブン&アイは「3月中」に実施すると期日を延期したのだ。
「延期になっている障害が何も解消していないのに、解決しますから大丈夫です』と繰り返していた。それで結局、契約を実行できないのだから山下さんも怒るよ」とセブン&アイ関係者はあきれる。
しかし、いよいよ3月に入って延ばした期日さえ守れそうにないことがわかると、さすがに井阪隆一社長ら幹部は慌てて、対処方法の検討を始める。そこで出たのが、①2月、3月と延期したから、さらに4月まで延期、②株主総会前の5月に延期、③期限を定めない無期限延期、の3案だった。
無料会員登録はこちら
ログインはこちら