セブン井阪社長は退任!「ファンド株主」独占激白 株主提案の「バリューアクト」直撃インタビュー

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バリューアクトのデイビッド・ロバート・ヘイル氏
D.Robert Hale(デイビッド・ロバート・ヘイル)/ストラテジック・バリュー・キャピタルのアナリストや、パルテノン・グループ(現 EYパルテノン)のプリンシパルなどを経て、2011年にバリューアクト・キャピタルに入社。2014年5月よりバリューアクト・キャピタルのパートナー。2019年6月からオリンパス、2021年6月からJSRの社外取締役も務める(写真:ValueAct Capital)
 セブン&アイ・ホールディングスと、アメリカの投資ファンドであるバリューアクト・キャピタルとのバトルが過熱している。バリューアクトは5月の定時株主総会に向け、井阪隆一社長ら4人の退任を実質的に求める取締役選任案を提案。対するセブン&アイの取締役会は、その提案に反対すると表明した。
 プロキシーファイト(委任状争奪戦)に突入する中、セブン&アイの井阪社長は提案をのむと「会社がおかしくなる」と訴える。このような反論にバリューアクトはどう答えるのか。同社パートナーのデイビッド・ロバート・ヘイル氏に聞いた。

 

──株主提案では新たな取締役の選任を求める一方で、井阪隆一社長ら取締役4人について事実上の退任を要求しました。理由を教えてください。

セブン&アイ・ホールディングスは非常に高いポテンシャルを持つ企業。だがさらなる成長には強力なリーダーシップが必要だ。井阪社長は7年間、経営トップの座にいるが、その間の実績を見ても、そうした実力は不十分だと考える。

われわれはつねに長期的な視点で企業との関係を重視する投資家で、株主提案にまで踏み切るのは極めて珍しい。バリューアクトの23年の歴史の中で今回が2回目、実に17年ぶりのことだ。決して軽い気持ちで提案を行っているのではない。

井阪社長は約束を破り続けてきた

──具体的に、井阪社長のどのような点を評価していないのでしょうか。

実績もさることながら、リーダーシップや意思決定、また説明責任に問題があると考えている。そごう・西武の売却の不手際に代表されるように、井阪社長は就任以来、自身が打ち出してきた約束を破り続けてきた。

セブン&アイの従業員もそのことに気づいているようで、同社が実施したエンプロイーエンゲージメント(従業員が会社に対して抱く愛着)に関する調査のデータによれば、従業員の仕事への熱意は極めて低い状況である。

この2年あまり、セブン&アイの取締役会にデータ分析に基づいた何千ページにも及ぶ資料を提出し、客観的なファクトに基づく提案を行ってきた。しかし井阪社長には、真摯に応える態度が感じられなかった。

井阪社長以外の取締役も、長年セブン&アイの取締役でありながら、自らが打ち出した改革を実行できていない。そればかりか決断を妨げてさえいる。

それに比べて、今回提案している新たな取締役候補は、いずれも変革や戦略の実行に対する経験が豊富で、非常に優れているビジネスリーダーたちだ。彼らは新しい視点をセブン&アイにもたらし、戦略オプションの検討やその執行状況の監督に貢献してくれるだろう。

こうした理由から井阪社長ら4人には退任していただき、新しい取締役にフレッシュな風を送りこんでもらうために株主提案に踏み切ったわけだ。

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