そごう・西武売却でセブンの株主が仮処分申請へ フォートレスへの株式譲渡差し止めを求める

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西武池袋の店舗
そごう・西武の売却にセブン&アイの株主が「待った」をかけた(撮影:梅谷秀司)

混迷を極めるそごう・西武の売却交渉が、ついに法廷闘争に突入しそうだ。セブン&アイ・ホールディングスの株主が同社の取締役を相手取り、今日にも東京地方裁判所に仮処分を申し立てる方針を固めたことが東洋経済の取材で分かった。

提訴するのは、セブン&アイのOBら株主だ。

そごう・西武の売却をめぐっては2022年11月、アメリカの投資ファンド、フォートレス・インベストメント・グループに対し2000億円超で全株式を譲渡する契約を締結、2023年2月1日に実施すると発表していた。

ところがフォートレスが、家電量販大手のヨドバシホールディングスと協力してそごう・西武の再建を目指すとし、西武池袋本店にヨドバシカメラを入居させる計画であることに地元の豊島区などが反発。そごう・西武の労働組合や地権者である西武ホールディングスなどの同意も得られていないことから、株式譲渡の実施を「2023年3月中」まで延期している。

ステークホルダーとのやりとりが不十分

2023年1月24日、セブン&アイホールディングスは、そごう・西武の株式譲渡について延期を発表した(編集部撮影)

事情に詳しい関係者によれば、こうした状況を受けて株主は、そごう・西武の株式譲渡を決めたセブン&アイの取締役が善管注意義務を果たしていないとし、株式の譲渡を差し止める訴訟の提起を検討。ただ訴訟になると、確定判決が出るまでには時間がかかることもあり、仮処分を申し立てる意向を固めたという。

2022年1月末から始まったそごう・西武の売却劇は、入札に応札した投資ファンドから「入札が公正ではない」などと不満が続出、フォートレスに優先交渉権を付与してからも、売却をめぐる交渉が暗礁に乗り上げ、今なお混乱が収まる気配はない。

その理由について、「アクティビスト(物言う株主)からの要求に応えることだけを目的に売却を急ぐがあまり、そごう・西武の労働組合をはじめ、地元や地権者といったステークホルダーの同意を得る努力を怠るなど、(セブン&アイが)しっかりとした手続きを踏んでこなかったから」(セブン&アイ幹部)との声は少なくない。

株式の譲渡契約を締結したにもかかわらず、ついに法廷闘争へと発展する形になったわけだが、司法判断次第では売却自体が再び暗礁に乗り上げる可能性もある。

田島 靖久 東洋経済 記者

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たじま やすひさ / Yasuhisa Tajima

週刊東洋経済副編集長。大学卒業後、放送局に入社。記者として事件取材を担当後、出版社に入社。経済誌で流通、商社、銀行、不動産などを担当する傍ら特集制作に携わる。2020年11月に東洋経済新報社に入社、週刊東洋経済副編集長、報道部長を経て23年4月から現職。『セブン&アイ 解体へのカウントダウン』が小社より24年12月発売予定。

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