鳥インフルで卵価格2倍に、調達難で外食が悲鳴 過去最大の感染規模、供給正常化に最短半年か

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養鶏場のイメージ
鳥インフルエンザの感染拡大で鶏卵の供給制約が生じている。写真は養鶏場のイメージ(写真:PIXTA)

「物価の優等生」と言われてきた卵にかつてないほどの異変が起きている。鶏卵卸大手のJA全農たまごによると、卵Mサイズ1キロあたりの出荷価格(東京市場)は2月14日に335円と過去最高を記録。175円だった2022年2月の2倍近くに高騰している。

鶏卵の出荷価格の推移

ウクライナ情勢などにより、鶏のエサとなる配合飼料や光熱費が上昇し、卵の価格は上昇傾向にあったが、高病原性鳥インフルエンザの過去最大規模の感染拡大が追い打ちをかけた形だ。

鳥インフルは例年11月中頃に鶏やアヒルなど家畜の鳥で初感染が報告される。今シーズンはこれまでで最も早い10月末から被害が拡大。感染の発生件数は2月20日時点で76件に上り、鶏卵を産む採卵鶏1300万羽以上が殺処分された。平時に国内で飼育されている採卵鶏の1割に相当する規模で、従来最も多かった2020年度の987万羽を大きく上回った。

卵を使うメニューが相次ぎ販売停止に

鳥インフルの直撃を受けているのが外食業界だ。

業界大手のすかいらーくホールディングス(HD)の金谷実CFO(最高財務責任者)は鶏卵価格高騰の影響について「年間で4〜5億円の利益を圧迫する水準」だと話す。同社が2023年12月期の営業利益として見込む60億円と比較しても、インパクトは大きい。

卵不足によるメニューの提供制限も相次ぐ。すかいらーくHD傘下のファミリーレストラン「ガスト」ではパンケーキなどを、低価格中華の「バーミヤン」では天津飯といった、卵を使用する一部商品の提供を2月中旬から中止。「通常量の使用を継続すると、卵の在庫が尽きてしまう。ガストでも看板メニューの提供を継続するため、他の商品の提供を中止している状況。春のメニュー改定でも鶏卵の必要量に留意した変更を行うつもりだ」(広報)。

全国に約300店展開する定食チェーン大手の「大戸屋」では、看板メニューのチキン南蛮を2月15日から販売休止。チキン南蛮ではタルタルソースにゆで卵を使う。300店強の居酒屋チェーン「串カツ田中」は一部店舗で味付き煮卵を使用したメニューの提供を停止している。いずれの会社も今後は、他のメニューでも卵の使用量の削減や代替品を使うことを検討しているという。

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