飲食店がアルバイトの確保で直面する「三重苦」 コロナ禍でも抑制されていた倒産が増えるおそれ
「人手不足が深刻だ。11月頃から幹部が総出で現場のヘルプに入っており、本社業務が滞っている」
都内を中心に30店舗あまりの飲食店を展開する企業のオーナーは、そう口にして肩を落とす。オーナーによれば、コロナ対策のまん延防止等重点措置が解除されて営業が正常化しはじめた4月頃からアルバイト不足が深刻化。コロナ前には外国人留学生を中心に300人程度いたバイトは、現在では200人程度にまで減少した。また、バイト1人当たりの労働時間もコロナ前よりも減っているという。
現場のサポートでオーナーが「17日連続」の勤務
バイトが減ったことで、店舗運営もままならなくなったという。「4月からの3カ月間で8店舗を閉鎖した。全店、年中無休が原則だったが、2割程度の店舗で週1~2日の休業日を設けざるをえなくなった」とオーナーは明かす。
この企業の店舗は繁華街など都心に多く立地しているため、各店舗の家賃は優に月100万円を超える。そのため休業日の設定は大きなダメージだ。
バイトが減った分は、社員のみならず本部の役員まで総動員でカバーして対応しており、オーナーも例外ではなく、「毎日、バイトが不足している店に行って対応している。今日で17連勤だ」と話す。
日本フードサービス協会によると、新型コロナウイルスの感染拡大で大打撃を受けた外食業界だが、2022年10月にコロナ禍以降初めて売り上げ規模が2019年10月の水準を超えた。居酒屋など一部の業態を除き、客足の回復が進んだことに加え、昨今のインフレによる値上げが業界全体で進んできたことも影響している。
しかし冒頭の企業のように、人手不足の影響で外食需要回復の恩恵にあずかれていない企業も多い。人材確保で業界に“三重苦”ともいうべき難題が横たわっているからだ。
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