飲食店がアルバイトの確保で直面する「三重苦」 コロナ禍でも抑制されていた倒産が増えるおそれ
特に都心の店舗では、外国人留学生たちの貢献度合いは大きかった。終電後の午前2時や3時に閉店する場合、郊外に住んでいる日本人バイトは集まりにくい。しかし、外国人留学生であれば、同郷の友人らと都心のアパートをシェアハウスにしていることが多いため、人手が確保しやすかった。
企業からすると、1人採用できれば同じコミュニティの留学生も採用できるケースが多いため効率がいい。留学生にとっては、働ける時間が週28時間以内と決まっており、時給が1500円を超えるような都心店の深夜営業のバイトは魅力的だった。
ところが、こうした外国人留学生が減少すれば深夜営業が困難になり、売り上げの減少を招きかねない。昨今の円安進行に加えて、水際対策が緩和されて帰国しやすくなったことで日本を離れる留学生も多く、外食企業経営者の多くは人材確保に危機感を募らせている。
力尽きる飲食店が相次ぐ可能性も
人手不足をめぐる三重苦はバイトの話と片付けるわけにはいかない。冒頭で紹介した企業のように、バイト不足が正社員の業務圧迫につながり、コロナ禍で進んだ外食業界からの人材流出を再加速させかねないからだ。
こうした状況に危機感を抱き、外食の業界団体の中には「年収103万円の壁」を緩和するよう政府や与党に要請するなど、ロビー活動を積極化させているところもある。しかしある団体の幹部は「当局の反応は鈍い」と手応えのなさを語る。
東京商工リサーチによると、コロナ前は人手不足や原材料高の緩やかな進行で飲食業の倒産は増加傾向にあった。コロナ禍では、各種の補助金やゼロゼロ融資(実質無利子、無担保融資)で、何とか持ちこたえてきた外食企業も少なくなかったが、頼みの補助金はなくなり、ゼロゼロ融資の返済も本格化する。さらに、人手不足から正常な営業ができないとなれば、力尽きる飲食店が相次ぐことになりかねない。
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