茨城で月3万個クリームパンを売る個人店の正体 「パン工房ぐるぐる」が徹底する味へのこだわり
茨城県那珂(なか)市──。東京駅から約120km離れており、人口は約5万3000人。県庁所在地の水戸市にも隣接するが、2005年に市制施行された新しい市だ。
同市の表玄関ともいえるJR水郡線・上菅谷駅で下車すると、駅前ロータリーの前には開放的な景色が広がっていた。歩行者やクルマの通行量も多くない道(宮の池公園通り)を7~8分歩くと和風の店が現れる。「パン工房ぐるぐる 那珂本店」だ。名物パンが人気で、メディアにもよく登場する。コロナ禍でも盛業だという。
なぜ、地方小都市の個人店が存在感を発揮するのか。その秘密をリポートしたい。
経営者は世界大会に出場するパン職人
「この店にはよく来ますよ。今日買ったのは食パンです。クリームパンは、どこかにお土産として持っていくことが多いですね」
土曜日の朝、食パン2斤を手にして店から出てきた女性はこう話した。店内に入ると多くのお客さんが品定めをしたり、レジに並んでいたりした。朝食や昼食用だろうか。
「2011年に1号店をひたちなか市で創業して12年たち、那珂本店は2016年に開業しました。現在は、那珂市とひたちなか市で『パン工房ぐるぐる』を、2022年から水戸市で別業態の『ラ メゾン デュ パン クリハラ(La Maison du Pain KURIHARA)』を運営しています」
3店を経営する、株式会社ぐるぐる社長の栗原淳平さんはこう語る。那珂店やひたちなか店とは違い、水戸店はスタイリッシュな店構えだ。日本語では“パンの家 栗原”の意味だという。
茨城県常陸太田市出身の栗原さんは現役のパン職人。埼玉県川口市に本店がある人気パン店「デイジイ」で修業を積み、店長を務めた後に独立した。現在は店舗運営の傍ら、パン競技会にも力を注ぐ。国際競技会「iba カップ」の国内予選を勝ち抜き、今年10月にドイツで行われる決勝大会に日本代表として出場するのだ。
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