個性的すぎるパン屋「小麦の奴隷」が成功するワケ ホリエモン発案「地域活性化」を目指すビジネス
高級食パンブーム、コロナの自家需要などにより、パンの市場はますます活況を呈しているかに見える。1世帯当たりの年間支出でパンがコメを抜いたのが2014年。2018年〜2020年の平均ではコメが2万3815円に対し、パンは3万1391円と、パンにかける出費がコメを大幅に上回るようになった(総務省家計調査より)。
こうした傾向を受け増えてきているのが、個性的なチェーンのベーカリーだ。今回取材した「小麦の奴隷」もその1つ。2020年、北海道の大樹町店でスタートし、現在までに30店舗を展開する。
運営する株式会社こむぎの代表取締役の橋本玄樹氏は、「堀江貴文イノベーション大学校(以後HIU)」の会員の1人。また堀江氏自身も同社の共同創業者であり、運営に参画している。
ベーカリー業界の将来にかかわる課題
橋本氏によると小麦の奴隷を開業するきっかけとなったのは、HIUでの情報交換だった。
「堀江から、フランチャイズのベーカリーをやらないか、と発案がありました。離島におしゃれなベーカリーがあり、毎日売り切れていると。私はパン屋の経験はありませんが昔からパンは好きですし、可能性を感じました」(橋本氏)
起業にあたりビジネスモデルの核としたのは、1.冷凍の生地を使う、2.地方展開、3.地域特性を生かした店舗の独自性の3つだ。
その背景には、ベーカリー業界の将来にかかわる課題があった。こむぎのの共同創業者の1人河村征治氏は次のように説明する。
「パンがブームになり、パン屋のマーケットは大きくなっているように見えますが、実はパン屋の店舗数自体は減少しています。大型チェーン化し、施設内などには出店が増えているが、個人のお店が減っているのです。大きな理由となっているのが後継者不足です」(河村氏)
ベーカリーの仕事は、酵母を扱う技術などの習得が難しいだけでなく、仕込みのために早朝から夜まで、立ちっぱなしの長時間労働が必要になる。さらに利益率も低いとあって、担い手の確保が非常に難しくなっているのだそうだ。とくに、若者が減少している地域において深刻だという。
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