個性的すぎるパン屋「小麦の奴隷」が成功するワケ ホリエモン発案「地域活性化」を目指すビジネス
そこで同社では、独自開発した冷凍生地をOEM工場にて生産することで、職人技を要し、体力的にもきつい「仕込み」の過程をベーカリーの業務から取り除いた。つまり店舗での仕事は、冷凍生地を解凍して寝かせた後、焼きあげて販売するまでだ。
これで人材確保面の課題をクリアする。
2つめの核が「地方展開」なのは、データから予測すると、地方都市、とくに人口5万人以下の小さな地域ほど、「町のパン屋」が不足しがちなため、出店が求められているからだそうだ。また、3つめの「地域特性を生かした店舗の独自性」は、地域の産品を使ったオリジナルメニューの販売などで、店舗ごとの付加価値を高める工夫だ。
人口約5400人の町で年間4000万円の売上
上記モデルはもくろみどおり業績を上げることができているのだろうか。橋本氏によれば、地域やそれぞれの店によって差があるが、当初橋本氏自身が店長を務めた第1号大樹町店は成功モデルとして紹介できるそうだ。
大樹町は十勝地方にある人口約5400人の町。同店は年間4000万円の売り上げを得ているという。客単価1200円程度だそうなので、日にざっと100人程度が購入している計算になる。
そのほかの店舗についてもある程度の手応えを感じているそうだ。
「例えば地域のベーカリーが廃業してしまったエリアでは非常に喜ばれます。また、地方の方はおしゃれな空間を求めています。小麦の奴隷は紺色にオレンジ、金といったスタイリッシュなデザインの店舗で、商品を入れる紙袋もしっかりデザインされたものを使っています。手土産としても利用されているようです」(橋本氏)
成功の要素を挙げるとすれば、1つには看板商品だ。一押しは橋本氏自身が開発した「ザックザクカレーパン」(290円)。工夫点について、橋本氏は次のように語った。
【2022年3月5日22時15分追記】 記事初出時、価格に誤りがあったため上記のように修正しました。
「見た目で食べてみたくなるようなパンを目指しました。カレーパンと言えば、中身のカレーにこだわったものが多い。私はまず外側の生地にこだわることで、食感で差別化しました。また中身のカレーも、その食感に合うよう、ルーと大樹町のじゃがいもの配合も工夫し、冷めてもおいしい、スパイシーでありながら老若男女に好かれる味に仕上げました」(橋本氏)
まず見た目のインパクトでSNS等で拡散されやすい利点があるほか、カレーパン専門の大会などに出場することで話題性を高めているのも勝因だろう。
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